ウキはウキ釣り仕掛けを作る上で、その中心となる必須の釣り道具(タックル)です。
海釣りで使用するウキは非常に種類が多く、その仕掛けや釣り方も多種多様ですが、ウキの選び方一つでその日の釣果を左右することもある重要な釣具です。
それゆえ、ベテランさんになるほど多くのウキを所有し、その時々の釣り環境や魚の活性に合わせて、ウキの交換を含めた仕掛けの調整を行いながら釣果を伸ばします。
海釣りでは、釣り人の大半が堤防釣りを楽しみますが、ウキ釣りは【波止釣りの三大釣法】の一つに挙げられるメジャーな釣り方です。
これから釣りを始める入門者さんや、始めたばかりの初心者さんにおいても、ウキ釣りからスタートする人は決して少なくないでしょう。
ここでは、海釣りの入門者や初心者向けに、釣りの基本知識として、海釣り仕掛けで使うウキの種類や特徴、選び方などについて紹介します。
ウキの種類 ~海釣り仕掛けで使うウキの選び方~
冒頭で少し書きましたが、偏にウキ釣りといっても、その釣り方や仕掛けには非常にたくさんの種類があります。
人気どころの釣り方で言えば、ウキフカセ釣り、投げサビキ釣り、カゴ釣り、紀州釣り、エビ撒き釣り、その他ターゲットを絞らない五目ウキ釣りなどがそれに該当します。
釣り方のそれぞれに仕掛けの種類が複数存在し、各々の仕掛けに対して使えるウキが複数種類がある、更に同じウキでも異なるサイズを使い分ける訳ですから、そのウキの種類の多さは想像に難くありません。
もちろん、そのすべてをここで紹介することは出来ないので、ここでは形状に応じたウキの種類と特徴、そしてポピュラーなウキ釣りを行う際のウキの選び方に焦点を当てて紹介します。
その前に、そもそもウキという釣具について知らない方がいるかもしれないので、まず簡単に『ウキとは』というところから始めましょう。
ウキとは(浮きとは)~ウキの役割~
ウキは「浮き」とも書きますが、読んで字のごとく浮力を持って水面に浮いている釣具で、魚がエサを補食する際、その反応を視覚的に伝えてくれる役割を持ちます。
大雑把にいうと、魚が釣り針についたエサを食うと、針に結ばれた釣り糸が引っ張られ、釣り糸と接点を持つウキが水中に沈むという動きを行います。
魚のアタリの出方は様々なので、必ずしもウキが示す挙動は一様ではありませんが、典型的なアタリはウキが沈むものと考えておけば良いかと思います。
ウキは海釣りに限ったものではなく、川釣りや池釣りなど淡水の釣りにも使われます。
もう一つの大きな特徴としては、仕掛けにウキを取り付けることで、ウキ下と呼ばれるウキから釣り針までの長さを一定に保って釣りをすることが出来ます。
ウキがない仕掛けでは、釣り針に付けたエサは時間が経過すると、海底に沈んでいってしまいます。
釣りの対象魚は、海の中でも海面付近にいるもの、中層にいるもの、底にいるものと、それぞれ生息域が異なります。
魚のいる深さ(棚と言います)に合わせてウキ下を調整することを『棚を合わせる』と言いますが、同じ棚でエサを流し続けることによって、狙った魚を釣り上げやすくなります。
このように、ウキは非常に重要な役割を持ちます。
ウキの種類と特徴
海釣りでの中でも、特に堤防釣りで良く使用されるウキの種類を、タイプ別に以下の写真で示してみます。
エサ釣りで使うウキの種類
- 棒ウキ
- 円錐ウキ
- サビキウキ
- 遠投ウキ
- 電気ウキ
左から順に、棒ウキ、円錐ウキ(ドングリウキ)、サビキウキ、遠投ウキ、電気ウキとなります。
それぞれのウキの特徴を簡単に纏めてみましょう。
棒ウキの特徴
棒ウキの特徴
- 形状は縦長で、筒タイプ、下膨れタイプ、スリムタイプなど多種多様
- 長さは数cm~数十cmと幅広い
- 視認性が高い
- 小さなアタリでも反応が出やすい
- 固定ウキと遊動ウキのいずれでも使用
棒ウキは最も良く使われる汎用性の高いウキで、釣り場や釣り方を選ばず、視認性も高いことから、ウキ釣りの中でも幅広い釣り方に対応できるウキです。
波止際で行うアジ釣りを含めた五目ウキ釣りでは安価なセルウキを使い、同じ波止際の釣りでもメバル釣りなどの場合は、少し高感度な細めの棒ウキを使います。
海釣りでは遊動ウキを使うのが一般的ですが、波止際で棚の浅いターゲットを狙う場合には、固定ウキを使用することも出来ます。
逆にフカセ釣りやエビ撒き釣りなどで多少の遠投を行う場合は、遠矢ウキなどのように自重の重い遠投ウキを使うことが多く、その多くは仕掛けにオモリ打たなくてもウキが立つ【自立ウキ】と呼ばれるものになっています。
また、紀州釣りなどを行う場合は【寝ウキ】といって、棒ウキを海面にそって寝かしたまま使い、ウキの立ち上がりや消し込みによってアタリを判断するといった使い方もあります。
円錐ウキの特徴
円錐ウキの特徴
- 形状はどんぐり、円錐、逆円錐など
- 大きさは数cmと小さい
- 視認性はまずまずも、条件次第で棒ウキより上
- 小さなアタリでは反応が出にくい
- 遠投性能が高い
円錐ウキは形状に限らずドングリウキとも呼ばれます(本来はどんぐり形状だけがドングリウキ)が、ウキの上下を貫通するように穴が開いており、この中へラインを通す中通しタイプのウキと言うのが大きな特徴です。
チヌフカセ釣りやグレフカセ釣りなど、ウキフカセ釣りでの使用がメインで、自重があるので遠投性能も高く、波が高かったり、サラシの中でもシッカリと浮くので、荒れた環境で使いやすいウキです。
また、高い位置から見た場合、棒ウキよりも見える面積が大きいので、釣り場環境によって視認性の高さは棒ウキより良くなります。
もちろん堤防釣りでも使われますが、最も良く使われるのは磯釣りになります。
サビキウキの特徴
サビキウキの特徴
- 形状は縦長円錐に、筒のトップが付いているものが一般的
- 長さは数cm~数十cmと幅広い
- 視認性は非常に高い
- 感度は悪いが必要ない
- 投げサビキ専用で、遠投性能は高い
サビキウキはファミリーフィッシングの代名詞であるサビキ釣りの中で、ウキをつけた投げサビキや遠投サビキと呼ばれる人気の釣り方があり、その仕掛けに使う専用のウキです。
サビキ釣りではアタリが大きく出るので感度は求められず、棚を固定することさえ出来れば良いので、大雑把で安価なウキです。
投げサビキの完成仕掛けの中には、始めからサビキウキがサビキカゴがセットになったものが販売されています。
近投での投げサビキなら、ウキに拘る必要はありませんが、少し遠投するのであれば風の抵抗に負けないように、自重のあるサビキウキを使う方が良いでしょう。
遠投ウキの特徴
遠投ウキの特徴
- 形状は瓢箪タイプに羽が付いたものが多い
- 長さは15cm~30cmと大きい
- 視認性は非常に高い
- 感度は良くないがあまり必要ない
- カゴ釣りがメインで、遠投性能は抜群
遠投ウキはカゴ釣りでの沖の大物を狙うのがメインの使い方になり、まず第一に遠投性能が求められるです。
飛行時の安定性を保つため、羽が付いた独特の形状をしたウキが多く、オモリが内蔵されたものも多いのが特長です。
ポイントは沖目の数十m先から時には100mにも上るため、ウキの大きさも大きく視認性も求められます。
もちろん、求められるタックル性能もそれなりの強度のものが必要なので、初心者さんのうちはあまり縁のないウキだと言えます。
電気ウキの特徴
遠投ウキの特徴
- 形状は棒ウキを太くしたものが一般的
- 長さは5cm~20cmと大きい
- 視認性はウキの性能次第
- 感度はほどほど
- 固定ウキを使う場合が多い
電気ウキは夜釣りで使うものですが、夜釣りでは棚が浅くなるケースが多く、また無用なトラブルを避けるという面でも、シンプルな固定ウキを使うことが多くなります。
一般的な電気ウキは、ウキの内部にリチウム電池を内蔵してしますが、最近では棒ウキの先端に、ケミホタルなどの発光体やミニLED電球を取り付けられるようになったものが多く、多種多様なウキを電気ウキとして使用できるようになりました。
夜釣りでは魚の警戒心も低くなっており、電気ウキの性能や感度そのものはそれほど求められないので、ポイントの遠近を含めた視認性を第一に選べば良いでしょう。
また、タチウオ釣り用の電気ウキなどは、仕掛けを遠投するケースも多く、少し大き目の遠投ウキに似たような形状になっています。
海釣り(特に波止釣り)で使われる主なウキの種類は、上記のようなものです。
ウキは浮力を持ち、これが大きすぎると魚に対して違和感を与え、逆に小さ過ぎると、コントロールが効きにくく、視認性も悪くなります。
釣り方に合わせて、適切なウキを使うことで、釣果に良い影響ももたらしますので、良く調べてから購入しましょう。
釣り方に合わせたウキの選び方については、それぞれの釣り方の記事の中でも別途紹介できればと思います。
固定ウキと遊動ウキ
海釣り仕掛けで使うウキの種類については上記のように分かれますが、もう一点、ウキと釣糸との接点という部分に焦点を当てると、ウキは固定ウキと遊動ウキという2つのタイプに別れます。
固定ウキ
ウキ釣りで使う仕掛けは大きく分けると固定仕掛けと遊動仕掛けに分かれますが、固定ウキと言うのは前者の固定仕掛けでの使用を前提に作られたウキを指します。
ウキの形状の特徴として、ウキの取り付け部分が爪楊枝のようにテーパー状になっており、その先端にウキゴムという釣具を用いて、釣り糸(道糸)に固定することが出来るようになっています。
固定ウキのメリットとデメリットを示しておきましょう。
- 仕掛けがシンプルで作りやすい
- トラブルが少ない
- 繊細なアタリを捕らえやすい
- 設定できる水深(棚)に制限がある
- ウキの種類が少ない
淡水でのウキ釣りと、海釣りでのウキ釣りで、もっとも大きく異なるのが狙う水深の深さになります。
海釣りの方が狙う棚が深いことが多く、ウキ下を使用するロッドの長さ以上に設定することも珍しいことではありません。
固定ウキ仕掛けでは、使用する釣り竿の長さより深い棚には設定できないことから、海釣りの中では水深の浅い棚でウキ下を固定して釣る時に使います。
遊動仕掛けと違って仕掛けがシンプルで扱いやすく、絡みのトラブルなども少ないのが特長です。
比較的小型の棒ウキを使うケースが多く、軽い仕掛けで潮馴染も良いので、堤防近辺での五目釣りなどでは釣果を得やすいでしょう。
その反面、遊動仕掛けと違って様々な種類のウキ釣りへの適用範囲は狭く、仕掛けを遠くにキャスティングするような釣りではほとんど使うことがないので、販売されているウキの種類は少ないというデメリットもあります。
海釣りでは、メバル釣りやアジ釣り、その他五目釣りなどの用途に絞られると言っても良いでしょう。
なお、海釣りをする方よりも、淡水での釣りをする方の方が固定ウキを使うケースも多く、たくさん所有している方もいると思います。
そんな時は、以下の遊動管付きウキゴムのような専用の釣具を使うことで、固定ウキを遊動ウキとして使う事も可能です。
ヘラウキなどの繊細なウキを海釣りで遊動で使いたい、お気に入りの固定ウキを深棚でも使いたいなど、そんな時に使える便利アイテムです。
頻繁にウキ釣りをするようであれば、一つ用意しておくと役に立つケースもあるでしょう。
遊動ウキ
遊動ウキとは、ウキ釣りの中で遊動仕掛けでの使用を前提に作られたウキを指します。
ウキの形状の特徴として、ウキの取り付け部分がサルカンのような環状になっており、この環の中へ道糸を通します。
当然ウキは道糸上を自由に移動できますが、ウキ止めという釣具を使って、ウキが移動できる幅を調整してやります。
遊動ウキのメリットとデメリットを示しておきましょう。
- 棚(ウキ下)に制限がない
- 遠投のウキ釣りが可能
- ウキの種類が豊富
- 仕掛けに使う小物が増える
- 複雑な仕掛けほどトラブルが多い
遊動ウキ仕掛けは、海釣りではなくてはならない仕掛けです。
その最大の特長は、固定ウキと違ってウキ下を釣竿の長さ以上に設定できることで、水深のある海釣りでは、ほとんどが遊動ウキを選択することになります。
また、リールを使う仕掛けになることから遠投で沖目の魚を狙えるようになりますが、防波堤の構造上で掛け上がりなどのポイントを狙えるようになるため、これも大きなメリットとなります。
ウキフカセ釣り、投げサビキ釣り、カゴ釣り、紀州釣り、エビ撒き釣り、その他五目ウキ釣りなど、仕掛けの負荷に関わらずどのようなウキ釣り仕掛けに対しても使用可能で、それぞれの釣り方に見合ったウキが多種多様に販売されています。
逆にデメリットと言えば、仕掛けに使う小物が増えるため、仕掛けが少々複雑になることが挙げられます。
もちろん仕掛けは複雑になればなるほどトラブルが増えるものなので、しっかりと仕掛けの知識と扱い方を身に付けていきましょう。
先に固定ウキを遊動ウキとして使える小物を紹介しましたが、逆に遊動ウキを固定ウキとして使えるタックルもあります。
海釣りでは遊動ウキはたくさん所有していても、固定ウキを購入するケースは少ないと思うので、コチラの方が実用的なアイテムとも言えます。
なお、円錐ウキのような中通しのウキは、細いゴム棒や爪楊枝などを下側の穴に指し込んでやることで、固定ウキとしても使用できます。
仮に棒が抜けても中通しなのでウキを失うことはありませんが、ただし、柔らかめの棒を使わないと道糸を傷付けるので注意が必要です。
以上で、海でのウキ釣りで良く使うウキの種類と特徴、選び方の紹介を終わります。
ウキは釣り針や釣り糸のように魚との接点を考えれば軽視しがちなタックルですが、フカセ釣りのような繊細な釣りでは、潮の馴染や流し、負荷の大きさのコントロールなど釣果に大きな影響を与える釣具です。
視認性の良さをどこまで犠牲にするか、あるいはコストでそれを補うか、人それぞれ使いやすいウキは異なります。
色々なウキを使っていくうちに、自分の釣りに合ったお気に入りがきっと見つかることでしょう。