どんなものにもマナーやルールというものが存在しますが、それは趣味の釣りを行うときも同じです。
誰かが釣りを楽しむことで、他の人に不利益を与えるようなことは、なるべく避けねばなりません。
自主的に守るマナーもあれば、知らなかったでは済まされないルールというものもあります。
ここでは、初心者さんでも覚えておけば安心できる、海釣りを行うときのマナーやルールについて紹介します。
【海釣りのマナーとルール】覚えておくと初心者でも安心
釣りのマナーとルールについては、公益財団法人 日本釣振興会のサイト中に『釣りのルール、マナーと安全』として、詳しく記載されています。
ただ、その内容は専門的で、多岐にわたっており、少しばかり小難しいので、ここでは初心者にも分かりやすいように、簡単に紹介します。
因みに、海釣りとはいっても、一般的な波止釣り(堤防釣り)から、渡船を使う磯釣り、海上釣り堀での釣り、沖に出ての船釣りなど、釣り場によって異なる様々なマナーやルールがあります。
ここでは、釣り全般に共通したルールやマナーを中心に、初心者さんを含め、釣り人の大多数が楽しむ堤防釣りにおいて特に注意したいルールやマナーを取り上げます。
海釣りを行う時に守るべきルール
それでは、まずは海釣りを行う時に守るべきルールについて紹介しましょう。
ルールには法的な縛りも付いて来ますので、違反すると罰則を受けたり、場合によっては告訴されることもあります。
知らなかったでは済まないので、必ず覚えておいて実践しましょう。
立ち入り禁止区域に入らない!
堤防釣りをしようと思い、自分で釣り場を探していれば、立ち入りが禁止されている港湾や漁港、堤防や護岸が多く存在するのが分かります。
その多くは鉄柵などが設置されていますが、漁港などでは『関係者以外立ち入り禁止』などの看板が設置されているだけの場所もあります。
立ち入り禁止とされている場所では、過去に事故が起きていたり、安全が確保されていない、環境資源保護区である、私有地である、漁業権を持つ正規の利用権者が不利益を受けているなど、きちんとした理由があります。
何か問題が発生してからでは遅く、責任や罰則を課せられることもありますので、立ち入り禁止区域には入らないようにしましょう。
釣り禁止区域では釣りをしない!
もちろん『釣り禁止』といった、単に魚釣りが禁止されている区域もあります。
立ち入りまでは禁止されていないので入ることは出来ますが、これも先の立ち入り禁止と同じように、理由があって禁止されていることです。
中には護岸のある地点を境にして、左側は釣り可能で、右側は禁止といったような釣り場も存在します。
パッと見て右側も釣りをするのに何ら問題ないと思うかもしれませんが、このような場合でもルールとして守りましょう。
駐車禁止の場所に車を止めない!
海釣りへ出掛ける時は、大半の人が車を使います。
釣り場の付近には、駐車場が設置されていたり、それなりに駐車可能なスペースがあります。
ただ、海釣り人気が高まる初夏から秋口にかけては、人気の釣り場は大賑わいで、駐車できる場所もないというのは良くあることです。
そんな時、周囲の先行している路駐組に誘われて、ついつい『まあ、良いか。ここは緑のおっちゃんも来ないし。』と駐車禁止の場所へ止めてしまう人も多いでしょう。
『釣り場を移ってもなぁ、どうせ空いてないし。』・・・難しい問題ですが、これはマナーではなく、守るべきルールです。
ルールを破る人が増え、それが問題視されると、例えその時は罰則を受けなくとも、その釣り場そのものが『釣り禁止』になることにも繋がりかねません。
釣り場の環境保全や、継続的な利用のことも考え、駐車禁止区域への車を止めるのは止めましょう。
釣り場にゴミを持ち込まない
近年、釣り場近くでのゴミの不法投棄が問題となり、立ち入りや禁止や釣り禁止になってしまった場所も少なくありません。
これは釣り人以外の行為が主な原因のようですが、少なくとも我々釣り人は釣り場で発生するゴミ以外は、決して釣り場へゴミを持ち込まないようにしましょう。
また、釣りを楽しむ時のマナーの方で紹介しますが、釣り場で発生したゴミは、基本的に自分達で持ち帰りましょう。
釣り場では火を焚かない
許可が出ている場所以外で、焚き火やバーベキューをしてはいけません。
釣り場には、流れついたゴミなども多く集まる場所があり、火を使うのは危険行為になります。
特に、護岸の釣り場は工場裏などの場合も多く、煙が立つと消防などが駆け付け、大事になることもあります。
コーヒーやカップラーメンで必要な湯を沸かすのに、携帯コンロを使う程度なら問題にはならないでしょうが、火気厳禁区域では、そのレベルでも控えましょう。
タバコなどの小火も含めて、とにかく火の取り扱いには、十分に注意することを心掛けて下さい。
貝藻類を採取しない
海藻や魚貝類の一部は、漁業権の対象として指定されており、漁業権者以外の者が採取することは出来ません。
特に漁業者が採貝・採藻漁業等を行っている漁場内では、あわび・さざえ等の貝類、わかめ・こんぶ等の海藻類、伊勢エビやたこ等の定着性の魚貝類を漁業権者以外の者がとることは、漁業権侵害として告訴されることがあります。
もちろん普通に釣りをしていて、釣れるレベルは問題になりません。
海釣り公園でのルールを知っておく!
海釣り公園は、季節に応じて様々な魚が釣れる、非常に魅力的な釣り場です。
海釣り公園そのものをご存じない方はコチラをどうぞ
海釣り施設の多くは、基本的には有料の釣り場になりますが、駐車場やトイレは勿論、売店や安全対策も行われており、初心者でも気軽に釣りが楽しめる釣り場です。
ただし、海釣り公園(その他の有料施設も含む)には、それぞれの施設で定められたルールがあります。
海釣り公園でのルールの一例を挙げてみると・・・
海釣り公園でのルールの一例
- 開園と閉園の時間が固定
- 投げ釣りは禁止
- 出せる釣竿は一人2本まで
- 赤土を使った撒き餌は禁止
- 天候や波風による急な閉園あり
他にも施設によって色々ありますが、有料施設で釣りを楽しむ場合も、事前にキチンとルールを把握しておきましょう。
海釣りを行う時のマナー
それでは、次に釣り人としてのマナーを紹介します。
釣りに関しては、どちらかというと、ルールよりも覚えておくべきマナーの方が多いかもしれませんね。
釣り場の使用は先客が優先
釣り場の利用はみんな平等ですが、先行者がいる場合は、少し離れて釣り座を設けるのがマナーです。
少なくとも竿1本(5m)以上、釣り場が空いていれば竿2本(10m)以上は空けましょう。
海釣りでは、潮の流れがあり、仕掛けを流す釣りをする場合が多分にあります。
また、狙ったターゲットを釣るために、撒き餌などでポイントを作っていたりしますので、すぐ隣に入ると先客が迷惑します。
ただし、釣り場が非常に混雑するような場所は別です。
先に書いたように、みんな平等に使用できるのですから、譲り合いの精神も必要です。
チョッとしたコミュニケーションを大事にしよう
先の釣り座の確保の時もそうですが、先客に一声掛けるだけで、釣り場の雰囲気も変わります。
先行者と先行者の狭い間に入れてもらう場合などは、「入れてもらって良いですか?」と一声かけて、了承を得て釣り座を構えましょう。
「釣れてますか?」そう聞いてみるだけで、話が広がり、色々と教えてもえるケースも多分にあります。
地元のベテランさんなどは、結構話好きの人が多く、顔見知りになれば何かとメリットもあります。
ただ、もちろん中には寡黙で一人静かに楽しむタイプの人もいるので、雰囲気で察しましょう。
釣り場をキレイに保ちましょう
釣り場でのゴミやタバコのポイ捨てなどは論外ですが、もう一つ、不要な魚が釣れても、その辺に投げ捨ててはいけません。
悪臭の発生など、環境の悪化に繋がるので、例え釣れた魚が死んでしまっても、キチンと海に帰しましょう。
特にヒレなどに毒のある魚などをポイ捨てすると、死んでも毒は消えないので、小さな子供が知らずに触ったりすると危険です。
また、不要になった釣り針や釣糸の切れ端なども、不要に放っておくと危険ですので、キチンと持ち帰りましょう。
釣り場をキレイに保つことは、環境保全だけでなく、安心安全に気持ち良く釣りを楽しむために必要なことでもあります。
釣り場で発生したゴミは持ち帰る
釣り場にはゴミ箱が設置されている場所も多くあります。
ただ、釣り客のために設置しているのは、有料で管理された釣り施設や、駐車料金を取って管理している釣り人に開放された漁港だけです。
釣りのゴミは異臭を放つものも多く、皆が一斉にゴミを捨てて帰ると、たちまちゴミは溢れて、環境悪化に繋がります。
釣り人のマナーとして、自分達が出したゴミは、例えゴミ箱が設置されていても、自分達で持ち帰りましょう。
ココに注意
釣り場では騒音を出さない
騒音を出すのは、近隣住民への迷惑行為になるので、もちろん止めてください。
そして、大声ではしゃいだり、音楽を流しながら釣りをするのも、周囲の釣り人の迷惑になります(警戒されて釣れなくなる魚種がたくさんいます)。
釣り場では、なるべく静かに楽しむようにしましょう。
ただ、そうは言っても、お子さん連れの場合は、『静かに!』といっても、まあ無理ですね。
なるべく大きな声を出さないように注意し、周囲に配慮すればそれで良いと思います。
ここでも、周囲に一声掛けておくか否かで、周囲の方の心持ちもずいぶん変わるはずです。
海面をライトで照らさない
これは主に夜釣りを行う時に気を付けることですが、夜の釣り場はお昼間と違って静寂と闇に包まれています。
魚の警戒心も弛み、昼とはサイズの違う大物も釣れたりしますが、ヘッドライトなどの不自然な光は魚に警戒心を抱かせます。
周囲に他の釣り人がいない場合を除いて、必要以上に海面をライトで照らす行為は避けましょう。
ただ、海面を集魚灯(集魚ライト)で照らしながら行う釣りなどもあります。
この場合は、その行為の正当性は、先客が優先と考えれば良いでしょう。
小魚(稚魚)や抱卵している魚は、出来るだけリリースして欲しい
小魚というのは魚種によらないので、ここでは稚魚と言いますが、稚魚は出来るだけリリース(放流)してあげて下さい。
また、釣果に余裕があれば、抱卵している魚もリリース(放流)してあげて欲しいですね。
もちろん釣り人それぞれ、釣果に対する価値観は違うので、この点について押し売りするつもりはありません。
ただ、乱獲することは避けるという意識は持っておいて欲しいです。
一度釣り場が荒れてしまうと、釣り人の努力だけでは再生できないのが現実です。
釣り場の後片付けを行おう
釣りを終えたら、釣り道具の後片付けをしますね。
この時、エサなどが釣り座に残っていたら、水汲みバケツを使ってキチンと海水で流して帰りましょう。
そして、今一度ゴミや忘れ物がないかを確認して、釣り場を去りましょう
その他、安全対策について
釣りに出掛けても、事故を起こしたり、トラブルに見舞われては、釣りを楽しむどころではありません。
釣り人として、安全対策には十分に配慮し、事故やトラブルを起こさないようにしなければなりません。
どのような点に気をつければ良いか、箇条書きで簡単に紹介しておきます。
釣行時の安全対策
- 体調が悪い時に無理な釣行はしない
- 必要に応じてライフジャケットを着用
- 天候を把握して、適切に対応する
- メジャーな毒魚に対する知識を持つ
- 衣服やサングラスなどで環境対策
- 安全な釣りができる足場の確保
- 潮汐を把握してリスクを認識
- トラブルを想定し有事の対応力を高める
- 有事の際の通報先を知っておく
マナーやルールを知っておくのと同様に、安心・安全に釣りというレジャーを楽しむために、釣行時の安全対策は欠かせません。
特に小さなお子さん連れのファミリーフィッシングでは、ライフジャケットは必ず用意しておきたいグッズです。
万一のことがあってからでは、取り返しがつかないということを認識しておく必要があります。
本記事をご覧になった方には、これから釣りを始めようとしている入門者さんや、釣りを始めたばかりの初心者さんが多いことだろうと思います。
新しいことを始めるのに、その世界のルールやマナーを知らないということは、非常に大きな不安が付きまといます。
ただ、釣りのルールやマナーは常識的な内容が多く、実践するのに決して難しいものではないので、心配は無用です。
本記事が、あなたの釣りライフにとって、新たな一歩を踏み出すキッカケになれば幸いです。
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