どのような釣りであっても、新しい釣り方を試してみようとする時、そのスタートは必要なタックルと仕掛けの種類や作り方を調べるところから始まります。
ある程度の釣りの経験者なら、仕掛けの完成図を見ただけでも、タックルを含めた釣具さえ持っていれば、その仕掛けを作ることが出来るでしょう。
ただし、入門者さんや初心者さんには、同じようにはいかないかもしれません。
その理由の一つに、釣り糸(ライン)の結び方(ノット)を知らないことが挙げられます。
実は釣りの仕掛けを作るための作業時間のほとんどは、釣り糸を結ぶ(ノットを組む)ということに使われ、仕掛けの完成度が決まるのもまた、釣り糸の結びの仕上がり次第になります。
それゆえ、釣り糸の結び方には、対象魚やその大きさ、釣り方に応じて様々な結びの種類があり、釣り人それぞれが状況に応じて結び方を使い分けています。
ここでは、海釣り(堤防釣り)におけるエサ釣り仕掛けを作る際に、入門者や初心者でもこれだけ覚えておけば、取りあえずは仕掛けを作ることができる3種類の結び方、【クリンチノット】、【外掛け結び】、【ウキ止め糸の結び方】について紹介します。
釣り糸の結び方 ~仕掛け作りの基本ノット~
釣り糸の結び方のことをノット(knot)と呼び、結び方には英語表記が多いので【・・・ノット】などの名称が付いています。
その中には日本語名と英語名の2つの通り名が使用されているものもありますが、基本的にエサ釣りにおいては日本語名、ルアーフィッシングにおいては英語名が用いられます。
ここでは、前述のように、堤防釣りで行うエサ釣り仕掛けに必要な結び方を紹介します。
ルアーフィッシングを行う際に、最初に覚えるべき基本ノットとは少し異なりますので、その点はご注意下さい。
それでは、クリンチノットから順番に紹介していきましょう。
サルカンの結び方【クリンチノット】
【クリンチノット】についてサルカンの結び方と表記しましたが、厳密に言えば、環状(輪)になっている対象であれば、どのようなものにでも結ぶことが出来る方法です。
サルカン結びの中では、最も簡単で速く結べる方法ですが、結束強度は決して強いものではありません。
結びやすさを重視した方法ですが、細仕掛けを使うことが少ない初心者には、最もおすすめの方法だと言えます。
釣り糸の端糸をサルカンの環の中に通し、本線側へ10cmほど折り返してきます。
本線の周りをクルクルと4回~6回ほど巻きつけていきます。
巻きの回数は結束強度に繋がり、ハリスのような細糸の場合は多めに巻き、太目の糸を巻く場合は少なめの巻きで良いでしょう。
巻き終えた後の端糸は、サルカン側へ折り返してきます。
なお、巻き始めの位置に人差し指を通しておくと、この後の作業も行いやすくなります。
折り返してきた端糸の先を、巻き始めの場所に出来た輪の中(人差し指を差し込んだ場所)へ通します。
通した後は、軽く引けるだけ分だけ端糸を引いておきましょう。
軽く引ける分だけ端糸を引いて固定したら、本線をゆっくりと矢印の方向へと引いていきます。
すると本線に巻きつけた部分が、徐々に締まりながら、結び目ができてサルカンへ寄っていき、最後にグッと結び目を締め込めば完成です。
余った端糸は、適当な長さ(3mm程度)を残してカットします。
注意点としては、図に示したように本線にクルクルと巻きつけた部分がキチンと並んでおり、重なり合っていないことを確認しておきましょう。
重なり合っていると結束強度が格段に落ちますので、その場合は結び直しましょう。
釣り針の結び方【外掛け結び】
釣り針の結び方で、最もポピュラーで癖がない結び方が【外掛け結び】です。
結束強度はほどほどの結びですが、比較的簡単に結べることから、初心者向きの結び方と言えます。
自分で釣り針を結べるようになるのと、ハリス付きの製品を使い続けるのとでは、仕掛けの強度、利便性、コストなど、あるゆる面で雲泥の差が出ます。
入門者や初心者であっても、早い段階で一つは釣り針の結び方を覚えておくことを、お勧めします。
ハリスを釣り針の内側に沿わせて、端から10cm程を残して折り返してやります。
この時、折り返しポイントと釣り針を合わせて、人差し指と親指で挟みこんでしっかりと押さえます。
折り返したハリスの端糸側で、ハリスの本線と針の軸を合わせて、チモト側へ向かって巻いていきます。
1回巻く度に、折り返しポイントを押さえている親指と人差し指で、しっかりと押さえ込みます。
だいたい5回~7回程度を目安として巻きましょう。
始めに折り返した部分に出来た輪の中へ、端糸を通してやります。
端糸が余り過ぎない程度まで、引っ張っておきましょう。
結び目を指で押さえ、本線をゆっくり引いて、結び目を締め込みます。
この時、ハリスの本線が針の軸の内側に来ている事を確認しながら行い、ずれている場合は調整しながら締め込みましょう。
ある程度締まったところで、本線だけではなく端糸も引き、両方から更に引いて最後まで締め込みます。
端糸側は引きにくいので、プライヤーで掴むか、持っていなければ歯で噛んで固定した上で、本線側を引いてもOKです。
余った端糸は、2mm程度を残してカットしましょう。
ウキ止め糸の結び方
ウキ止めについては、中通しのゴムタイプの製品と、糸タイプの製品があります。
初心者のうちはワンタッチで装着できるゴムタイプを使っても良いと思いますが、このタイプは一度緩んでしまうと、仕掛けをすべて一からやり直さないといけないデメリットがあります。
後付けで取り付けられるウキ止めの糸は、何かとメリットも多く、結び方も簡単で初心者でも扱いやすいのでお勧めです。
10cm程度にカットしたウキ止めの糸(白抜きの方)を本線に沿わせます。
道糸(ライン)の上側でも下側でも、操作しやすい方で結構です。
ウキ止め糸の一方は道糸に沿わせたままで、他方を折り返して、輪を作ってやります。
折り返したウキ止めの糸の先を輪の中に通し、道糸とウキ止め糸を合わせて、3回か4回ほど巻きつけます。
ウキから下の仕掛けの重さ大きい程、ウキ止めに掛かる負荷も大きくなるので、多めの回数を巻くようにします。
ただし、巻き数を増やせば、ズレにくくなりますが、ウキ止めが大きくなるデメリットが発生します。
ウキ止めの糸の両端を左右に引っ張り、結び目を締め込んでいきます。
ウキ止めが締まり切って結びコブが出来る前に、結び目を口に含んで湿り気を与えます(もちろん水に付けても構いません)。
余ったウキ止め糸は、なるべく結びコブの際でカットするようにしましょう。
なお、使用するラインの太さによってウキ止めの糸は適切な太さが違い、サイズが合っていないと使っているうちに緩みやすくなります。
ウキ止めの糸の購入時には、必ず適合サイズをチェックしましょう。
以上で、【クリンチノット】、【外掛け結び】、【ウキ止め糸の結び方】の結び方の紹介を終わります。
ここで紹介した釣り糸の結び方は、海釣りの中でもエサ釣り仕掛け(特に遊動ウキ仕掛け)を作る際に、役に立つ基本ノットです。
遊動ウキ釣り仕掛けについてご存知ない方は、コチラをどうぞ
簡単で早い結び方とはいっても、初心者のうちは慣れるまでに何度か失敗することもあるでしょう。
それでも、仕掛け作りにおいては、最も基本的なテクニックになりますので、ぜひともマスターしておきましょう。
なお、ルアーフィッシングを行う際に、覚えておきたい基本ノットについても、紹介記事を作成しました。
エサ釣りでも使用する、スプールへの道糸の結び方も含めた紹介になっていますので、宜しければ引き続きご覧下さい