ある程度海釣りを経験すれば、どのような魚を釣りたいのか、どのような釣り方や仕掛けで臨むのかを考えてから、釣り場を選ぶケースが増えます。
それは、すでにタックルや仕掛けを所有していて、経験から自分が行う釣りとその釣りに見合った釣り場所を知っているからです。
ただ、これから海釣りを始めようとする入門者さんは、まだ、どこでどのような釣りをすれば釣果が得られるのかが分かりません。
同行の経験者がいれば、手取り足取り教えてもらえるかもしれませんが、皆がそのような恵まれた環境にいるわけでもないでしょう。
そこで、海釣りを始める上での基本知識として、ここでは、海釣りが出来る釣り場所というのは、どのような所なのかについて紹介します。
海釣りが出来る釣り場所 ~初心者には波止がお勧め~
海釣りが出来る場所はどのような場所なのか、ストレートに結論から伝えてしまいましょう。
- 波止(堤防や防波堤などとも呼びます。)
- 砂浜(サーフとも呼びます。)
- 磯(自然の岩場のことです。)
- 船上(沖に出ての釣りになります。)
- 施設(海釣り公園、釣り堀、筏、カセなど)
分かりやすく、大きく5つに分けてみました。
この中で『波止』と『砂浜』についてはほぼ無料で釣りができます。
ただし、『沖提』と呼ばれる渡船で渡してもらうような沖にある波止は、渡船料が必要になります。
波止(堤防)は特に初心者さん向きな釣り場であり、海釣りを行う人の大半は波止釣りをしているとも言えます。
『磯』については、海岸線の陸続きで歩いて行ける『地磯』と、船で渡らなければ行けない『沖磯』があります。
沖提の場合と同じように、船で渡してもらう必要のある地磯や沖磯での釣りは、渡船代が必要になります。
残りの『船上』と『施設』については基本的に有料となり、釣りの種類や場所によっては1万円以上の高額な利用料金が必要になります。
各々の釣り場について、もう少し詳しく見てみましょう。
上図は和歌山県にある田ノ浦漁港の航空写真ですが、これを参考にして紹介してみましょう。
ただし、あくまで一例として取り上げるだけなので、実際に田ノ浦漁港の以下に示したすべての場所で釣りが出来るわけではありませんので、その点はご注意下さい。
波止(堤防、防波堤)
漁港というのは、日常的に漁船を係留し、漁を行った収穫の荷揚げを行いますので、波の影響を防ぐための構造をとる代表的な例だと言えます。
この時、海中に設置する人工的な構造物を防波堤と呼び、外海から押し寄せる波の影響を軽減する働きを持ちます。
図の中では、漁港の南にある外海向きで左右に伸びた一番大きな波止が『外防波堤』、右側の2つのコーナーを持つ波止が『内防波堤』、あと波早先から伸びた『テトラポッド』で組上げられた場所も防波堤です。
外海向きほど大きな防波堤が築かれており、港内にある防波堤は短くて細い形状のものが多くなります。
いずれにしても、この人工構造物である防波堤は、魚介類やそのエサとなる動植物やプランクトンが生息しやすい環境となり、釣り人にとっては最高の釣り場となります。
上図によくある形状の防波堤(波止)を示しました。
まっすぐ上側へ伸びた防波堤は左にカーブを切っており、左が港湾内になります(左上に客船が出入りしているのも見えます)。
右側は外向きになりますが、外向きは一段高くなっており、消波ブロックとして『テトラポッド』が組み上げられています。
いずれの方向でも釣りは可能ですが、外向きの方が潮の流れは良く釣果は期待できますが、そのぶん釣りが難しくなります。
このような波止釣り場の場合、テトラポッド上での釣りは危険も伴いますので、釣りを始めて間もない初心者さんは、足元がしっかりした安全な左側を選択する方が良いでしょう。
漁港では、港内の奥へ入るほど潮の動きの影響を受けず、一般的に船の係留場所は一番湾奥になります(田ノ浦漁港の図でも、湾奥に船が係留しているのが分かります)。
このような場所でも釣りは可能で、狙うターゲット次第では十分に釣果を得ることが出来ます。
ただし、係留している船や船を繋いでいるロープには十分注意する必要があります。
十分に釣りが出来るスペースが確保出来ることや、キャスティングを伴う釣りは避けるなど、船の持ち主に迷惑を掛けることがないように心掛けておきましょう。
ココは注意
そして、港以外でも防波堤は存在していて、実は海岸沿いの多くは、『護岸』と呼ばれる防波堤の一部です。
護岸は海岸や河岸などで、水流や波浪の浸食破壊を防ぐことを目的として、地盤の表面や堤防を覆って保護された構造物です。
上で紹介した漁港や港湾と違うのは、外海向きになっているので、比較的潮通しが良く、釣りが難しい場所が多くなります。
ただし、護岸も足場は安全な場所が多く、場所によっては上記のような柵が設置されていたりするので、初心者さんにはお勧めの釣り場の一つと言えます。
この他、先に少しだけ書きましたが、場所によっては沖に防波堤(写真ではテトラポッド組みの防波堤)が建設されており、一般的に沖提と呼ばれますが、ここへ船で渡してもらって釣りが出来る場所があります。
『沖提』は潮通しが良く、釣り人も少ないので、比較的魚影が濃くなっており、沖ならではの魚やサイズの釣果が期待できます。
渡船料が掛かり、ライフジャケットの着用も必須ですが、時期によっては費用に見合う釣果が期待できるケースも多くあります。
先にも書いた通り、波止(防波堤、堤防)は初心者さんにとってもっとも釣りが行いやすい場所になります。
特に入門者さんは、ある程度釣りに慣れるまでは、潮の流れが穏やかな漁港の内向きで釣りを覚えていくのがお勧めです。
ここでは詳しく紹介しませんが、波止は人口の漁礁のようなもので、沿岸で釣れる魚の中で、波止で釣れない魚はいないと言われる程、様々な魚が釣れる場所ですので、これから釣りを始める方でも、すぐに様々な魚に出会えることでしょう。
砂浜(サーフ)
ここでもう一度、最初の田ノ浦漁港の写真を見てみましょう。
漁港のすぐ左側には、『砂浜(サーフ)』が存在します。
海釣りを行う人にとって砂浜は重要な釣り場であり、対象魚によっては、ここがメインの釣り場になります。
ただし、先に挙げた波止などとは違って、目の前の海岸線は水深がありませんので、オモリを付けてキャスティングを行う釣りや、ルアーフィッシングがメインの釣りとなります。
砂浜で釣れる魚には魅力的な魚も多く、ここ専門の釣りに興じる方も少なくはありません。
磯(地磯、沖磯)
最初の田ノ浦漁港の写真を、今一度思い出してみましょう。
写真には波早崎という『地磯』と、外防波堤の南側に少し海を挟んだ『沖磯』の、2種類の磯が存在しますが、磯というのは以下の様な釣り場を差します。
海にある自然の岩場を磯と呼びますが、海岸線の陸続きの場所を地磯、渡船料を支払って沖に渡してもらう岩場を沖磯と言います。
磯釣りでは力の強い魚種や、波止ではなかなか釣るのが難しい大物を狙うことが出来ます。
ただし、やはり危険と隣り合わせであり、タックル(釣り道具)や装備品も磯釣りに対応したものが必要となりますので、初心者向きの釣りとは言えません。
磯に釣り人のロマンを抱く人も多いので、いずれ磯に出ることを夢見て、釣りの知識と技術を磨くのも良いかもしれません。
船上(海上)
船上で行う沖での釣りも、一つの釣り場所と言えるでしょう。
船と言っても、カヤックに乗って一人で釣りを行う人もいれば、二人でゴムボートに乗って釣りに出掛ける人、グループで船を貸し切ったり、乗合船に相乗りしたりと様々です。
また、タックルも狙う魚によって大きく変わりますので、初心者向きの釣りではありませんが、釣果のほうは期待できますので、金銭的に余裕のある方は、ある釣りのイロハを覚えたら、船釣りに転向するのも良いかもしれません。
釣り専用の施設(海釣り公園、釣り堀、筏、カセなど)
釣り専用の施設については、初心者さんでも利用しやすい海釣り公園を始め、手軽に大物釣果が得られる釣り堀や、ターゲットを絞った筏やカセなど、様々な釣り場所が存在します。
こちらについては、次の記事で紹介する予定ですので、後日改めて確認頂けると幸いです。
有料釣り場についての記事を作成しました。
いかがでしたか、偏に海釣りといっても、様々な場所で行う釣りがあるということがご理解頂けたかと思います。
すでに記事中で紹介しましたが、釣り人の大半は波止釣り(堤防釣り)を楽しんでおり、何より『波止釣り』は初心者から上級者まで、様々な楽しみ方、レベルに応じた釣りができる釣り場です。
それゆえ、当サイトでは波止釣り(堤防釣り)を中心とした、様々な釣りについて紹介してくことを、メインコンセプトとしています。
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