釣り針は、魚釣りにおいて釣果に影響を与える最重要の釣具の一つです。
釣り針の選び方としては、対象魚(ターゲット)に合わせて釣り針の種類とサイズ(号数)を決めることが基本です。
これは、ターゲットとなる魚は多種多様で、それぞれ口の形状が違えば、大きさや力の強さも違うし、針の掛かりやすさや口切れの起こしやすさも異なるためです。
更に言うとエサを普通に食べるものもいれば、口先で啄むように食べるもの、丸飲みするもの、警戒して食い込みにくいものなど食べ方も様々です。
それゆえ、釣りをする時には対象魚に適切な形状や大きさ(号数)の釣り針を使う必要があります。
先の記事では釣り針の基本知識や、5種類の基本形状を持つ釣り針の種類について紹介しました。
ここでは、もう一つの要素である釣り針のサイズ(針の大きさには号数という表示が使われています)について紹介します。
また初心者さんでも釣り針選びに迷わないように、堤防釣りの主要なターゲットや釣り方別に、一般的に使用される釣り針の種類と号数について纏めます。
釣り針の号数 ~魚と釣り方別の種類と適合サイズ~
本記事をご覧頂いておる方には、これから釣りを始める入門者さんや、始めて間もない初心者さんも多いかと思います。
もし、釣り針についての基本知識や種類について全く知らない場合は、以下の記事を先にご覧いただく方が理解しやすいかもしれません。
それでは改めて、釣り針のサイズ(大きさ)に関する基本知識の紹介から始めます。
釣り針のサイズを表す【号数】はメーカーの独自基準
すでの書きましたが、釣り針の大きさは1号とか2号といった【号数表記】でサイズがラインナップされています。
表示されている号数が大きくなればなるほど、釣り針のサイズも大きくなるのが基本です。
ただし、エサ釣りと違って欧米色の強いルアーフィッシングで使用するフックには、#1とか#2といった【ナンバー表記】でサイズが分けられており、こちらはナンバーが大きいほどフックのサイズは小さくなります。
一見すると、号数で大きさを把握できるのだから、何の問題もないように思えますが、実は釣り針の号数表記は規格化されたものではなく、その針独自の設定となっています。
つまり、釣り針の種類が違えば、同じ号数でも大きさはバラバラで、更に言うと例えば同じチヌ針であっても、メーカーの違いや施された加工の違いで大きさは少し異なってきます。
実は釣り針以外の釣り道具で、釣り糸やオモリにも号数が表示されていますが、これらは規格化されているのでメーカーや種類が変わっても、違いはありません。
具体的に言うと、釣り糸は一部の素材を除いて、太さによって号数が決まっており、1号=0.165mm、2号は0.235mm、3号は0.285mmと標準直径として規格化され、釣り糸の号数は強さと比例関係になっています。
また、オモリは重さによって号数が規格化されており、1号=3.75g、2号=7.5g、3号=11.25gとコチラは重さと号数が比例関係になっています。
釣り糸やオモリのように、釣り針の号数も何らかの共通要素との関係性があれば、選ぶ際に迷わなくて済みますが、釣り針には号数に対する共通基準がありません。
それゆえ、釣り針のサイズを選ぶ時には、釣り人自身の知識と経験、そして勘が必要になります。
じゃあ釣り針のサイズの選び方は?
結論から先に言ってしまうと、釣り針の適合サイズを明確にしてくれる簡単な選び方はありません。
釣り針のサイズは、単に魚の大きさに合わせれば良いというものではなく、いくつかの要素を複合的に考えてその最善を探る必要があります。
釣り針のサイズを決める要素
- ターゲットとする魚の大きさ
- 釣り場ごとの魚影の濃さ
- その日、その時の魚の活性
- 使うエサの種類と大きさ
- 仕掛けに与える負荷
上記のように、その時々の条件次第で適切なサイズは変わるので、釣り針は同じ種類であっても、複数のサイズを用意しておくのが最善です。
仕掛けや釣り方を替えたり、ターゲットの食いの悪さを感じたら、必要に応じて面倒でも針の種類や大きさを交換するというのが釣果アップに繋がるコツなのですが、現実はベテランさんでもない限りなかなかそこまでは出来ません。
初心者さんをはじめ、まだまだ釣りに精通していないような方には、釣り針の種類に応じた標準的なサイズを選んでおくのが無難な選び方と言えるでしょう。
次章では釣り針の基本形状とも言える5種類の針について、その標準的なサイズについて確認してみましょう。
釣り針の基本形となる5種類のサイズ(実物大)
釣り針には基本形状となる丸セイゴ、伊勢尼、袖針、キツネ針、ムツ針の5種類があります。
ここでは、波止釣り(堤防釣り)で使うことを前提として、それぞれの釣り針の標準的なサイズを紹介しておきましょう。
様々な釣り方に使える汎用性No.1の釣り針【丸セイゴ】
ターゲットの種類を問わず、様々な魚種や釣り方に対して使われているのが【丸セイゴ】です。
釣り針の中では最も汎用性の高い釣り針なので、何を使えば良いか分からない時には、取りあえず丸セイゴを選ぶというのもアリです。
丸セイゴ針は、標準的な形状と太さや重さを持つ釣り針ですが、大きさと号数の関係は以下のようになります。
一般的な波止釣りで使われる、丸セイゴの標準的な号数は、8号か9号です。
同じように汎用性の高いチヌ針と比較した場合、およそ2号に匹敵するサイズになり、ターゲットサイズは15cm~40cm程度まで幅広く使えるサイズと強度です。
もちろんターゲットとなる口の大きさにもよるので、アジやサバなどの青物、ベラやチャリコなどの小物、その他小針が良いグレやカワハギなどに使う場合には小さめの針を選ぶ方が良いでしょう。
逆に、エサを丸呑みするロックフィッシュやハマチやサゴシなどの大物、ヒラメなどを対象魚とする場合は大きめの針を選ぶのが良いです。
他の針と違って、丸セイゴは幅広いターゲットに使用できる分、それだけ号数の使用範囲も広く使える釣り針です。
なお、本記事で紹介している釣り針のサイズと号数の関係図は、すべてバラ針や仕掛け販売を手掛けるタイガー針が出典となっています。
同じ丸セイゴであっても、メーカーやタイプの違いでサイズも若干異なりますが、同種類・同タイプの針であれば、サイズは大きく変わることはありません。
人気のチヌやグレに適した釣り針【伊勢尼】
汎用的な釣り(五目釣りなど)にチヌ針をファーストチョイスとして使用されている方は多いと思います。
【伊勢尼】はチヌ針やグレ針など、人気の上物に適したフトコロの広い形状で、また軸の太さから強度の高い仕様となっています。
伊勢尼は、丸セイゴと同じように標準的な形状を持つ釣り針として使われますが、大きさと号数の関係は以下のようになります。
タイガー針さんの伊勢尼のラインナップは大物寄りのようですが、一般的な波止釣りで使われる、伊勢尼の標準的な号数は6号です。
もちろん、他メーカーではもっと小さな1号や2号のサイズも販売されているので、用途に応じて小さいサイズを用意することは可能です。
先にも書きましたが、伊勢尼形状の釣り針はチヌ針とグレ針など人気の専用針として販売されているので、波止釣りで伊勢尼そのものを使用する機会はあまりないかもしれません。
伊勢尼の6号は、およそチヌ針の2号、グレ針の7号に匹敵しますので、伊勢尼そのものをチヌやグレに使う場合は、チヌは6号より大きな針を、グレは6号より小さな針を選択するのが良いでしょう。
小針の特性を最大限に活かす釣り針【袖針】
胴の長く軸が細い、エサの吸い込みやすさを重視した釣り針が【袖針】です。
袖針は口が小さい魚に対しても、エサとともに釣り針を吸い込みやすくした軽い小針で、大きさとサイズの関係は以下のようになります。
一般的な波止釣りで使われる、袖針の標準的な号数は5号か6号で、市販のサビキ仕掛けに使われている売れ筋もこのサイズです。
淡水で使用されることが多い袖針ですが、堤防釣りでは五目ウキ釣りなどで使用されます。
対象魚がイワシやアジ、ハゼやなどの小物がメインの場合は標準サイズで、もう少しサイズが大きいアジやサバ、あるいはメバルなどの細針が良い魚には7号~9号程度、逆にサヨリのように非常に口が小さい魚には3号~4号程度が良く使われます。
袖針を使うのであれば、やはりそのメリットを活かして小さめの針を使うのが良いでしょう。
キス釣りに効果を発揮する釣り針【キツネ】
もともとは渓流針として使用されていた【キツネ針】ですが、袖針のような胴の長さと細さ、丸セイゴのような形状がキスを釣るのにフィットし、海釣りではキスを含めた底物釣りの針として使用されています。
キツネ針の大きさとサイズの関係は以下のようになります。
一般的な波止釣りといっても、底物で使うキツネ針はサーフで使うことが多い針ですが、標準的な号数は5号か6号です。
キスを狙う場合にはキツネか流線がメインで、一部の方には袖型を使う人もいると思いますが、エサ取りの少ない釣り場なら、針先を傷めずに引き釣りできるメリットがあるキツネが効果的です。
カレイやその他の獲物も含めた投げ釣りで使うのであれば、もう少し大きめの7号か8号を選択するのが良いでしょう。
ロックフィッシュに特化した【ムツ】
エサを深く飲み込むロックフィッシュ(根魚)に特化させた釣り針がこのムツ針ですが、堤防釣りではほとんど使うことはありません。
ムツ針の大きさとサイズの関係は以下のようになります。
一般的な波止釣りでは、カサゴやソイなどのロックフィッシュを狙う時以外で使う事はないと思いますが、ムツ針の標準的な号数は9号です。
船釣りで岩礁帯を狙うような釣りでは、もう少し大き目の14号以上のサイズを使いますが、堤防釣りでは大きくても13号までだと思います。
ムツ針の特徴の一つである針先を内向きに大きく曲げた【ネムリ】は、丸セイゴや伊勢尼タイプの釣り針でも加工されたものがあるので、そちらを使う方が釣り針の形状的にも汎用的に使えます。
管理人としても堤防釣りでムツ針の使用はおすすめしないので、5種類の基本形状の釣り針の一つゆえ、参考までに紹介した程度と考えてもらえば結構です。
対象魚と釣り方別、おすすめの釣り針の種類とサイズ
それでは最後に、対象魚といくつかの釣り方に対して、おすすめの釣り針の種類とサイズを一覧として紹介します。
当然狙うターゲットのサイズによっておすすめのサイズは変わるので、ここでは対象となる魚のサイズも記載したうえで、標準的なサイズを紹介します。
狙うサイズが異なれば、そのサイズに合わせて釣り針の号数を変えてもらえば良いと思います。
釣り針選びに迷った際に、入門者さんや初心者さんにはポケットマニュアルとして、画像をダウンロードして使ってもらえれば幸いです。
以上で、釣り針のサイズ(号数)の基本知識と、対象魚と釣り方別の釣り針の種類と適合サイズの紹介を終わります。
ターゲットによっては、釣り針の選択ミスは致命的になるものもいるので、初心者の方にとっては、釣り針が非常に重要な釣具だという事を認識してもらうだけでも上達の一歩に繋がると思います。
釣りに不慣れなうちは、専用針があるものはなるべくその標準的な号数のものを使用し、慣れてくれば色々と自分なりに釣果を伸ばすための模索をしてみてはいかがでしょうか。
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