ルアーフィッシングのリグ(仕掛け)を構成する小物の一つに、シンカー(オモリ)と呼ばれるルアーを沈めるタックル(釣り道具)があります。
エサ釣りと違い、ルアーフィッシングで使うルアー(擬似餌)には、始めから適切な自重が設定されているものが多く、ハードルアーであればほとんどのケースでシンカー(オモリ)は必要としません。
シンカーを使うのは、ほぼソフトルアーを使うワームフィッシングといっても過言ではないでしょう。
それゆえ海釣りで使用するオモリには非常に多くの種類がありますが、ルアーリグに限って言えばシンカーの種類はそれほど多くありません。
ただ、それでもリグや釣り方に合わせてシンカーの使い方や選び方は変わってきます。
これから釣り始める入門者さんや、始めて間もない初心者さんには、どのような種類のシンカーを使えば良いのか迷われる方も多いことでしょう。
ここでは、ワームゲームを中心としたルアーリグでよく使われるシンカーの種類と付け方について紹介します。
なお、海釣りの中でも、堤防釣りを中心としたエサ釣り全般のオモリの種類と選び方については、別途紹介記事を用意しています。
オモリという釣具について、ほとんど知識がないという方には、まずはコチラをご覧頂く方が有用です

ルアーリグ(ワームリグ)に使うシンカー(オモリ)の種類と付け方
冒頭で少し書きましたが、一部のルアーフィッシングでは、釣り方やリグに合わせて特性の異なるシンカーを使います。
シンカーには重さの違いがあるのはもちろんのこと、ラウンド形(球体)やスティック形(棒状)、バレット形(弾丸型)などの形状の違い、ライン(釣り糸)やワームなど付ける場所の違いなどがあります。
また、ジグヘッドと呼ばれる、シンカーとフック(釣り針)が一体化されたタイプも頻繁に使われます。
釣り方に合わせたシンカーを紹介する前に、そもそもシンカーという釣具について知らない方もいると思いますので、まず簡単に『シンカーとは』というところから始めましょう。
シンカーとは ~シンカーの役割~
シンカーはルアー釣りでは「シンカー」、エサ釣りでは「重り」や「錘」(いずれもオモリ)と呼びます。
シンカーの素材は圧倒的に鉛が多いですが、最近では比重の高いタングステン製のものも増え、エサ釣りに比べるとルアーフィッシングでは鉛よりもタングステンを使用する比率は高いと言えます。
タングステン製のシンカーは、鉛に対して比重の高さから小さくても重いというメリットがあり、またシンカーのロスト率の高さを考えた時に環境にも優しいと言われます。
ただ、鉛に比べるとコストが高く、タングステンシンカーはコスパ面では鉛に劣ります。
シンカーは「重り」という字が示すように、物に重さを付加するために使われるものですが、釣りで使うシンカーの役割はリグの中に組み込んで、ルアーを目的の水深まで沈めるために使います。
水中では浮力が発生するため、沈めたい棚が深ければ深いほどいほど重いシンカーが必要となります。
また、シンカーはルアーを沖目の遠くのポイントへ投入する役割も持ち、この場合も狙ったポイントが遠ければ遠いほど重いシンカーが必要となります。
ただ、エサ釣りと違って擬似餌であるルアーには、ターゲットを誘う動きが要求されます。
使用するシンカーが重くなるほど、キャスティングの遠投距離が長くなるほど、ロッドアクションがルアーに伝わらないということも念頭においておきましょう。
いずれの場合においても、シンカーはリグに対して抵抗を与えるものなので、間違った使い方をすると魚に違和感を与えます。
釣り方に見合ったシンカーを適切に使用することは、釣果の向上に繋がる一つの条件だと認識しておきましょう。
シンカーの形状と特徴
ここでは、ソルトウオータールアー(海のルアー釣り)の中でもショア(陸)で使用されるシンカーの種類を、タイプ別に以下の写真で示してみます。

ルアー用シンカーの種類
ルアー釣りで使うシンカーのタイプ
- 中通しタイプ
- 外通し(外付け)タイプ
- 胴突きタイプ
- ガン玉
- ワームセッティング用
- フック一体型
上記では6種類のタイプとして区分けしました。
他にも天秤タイプやチューニングシンカー、フロート(飛ばしウキ)と呼ばれるタックルがオモリの役割としてリグに組み込まれます。
それぞれ上図のシンカーには一般的な名称があります。
左上段から順に、バレットシンカー(テキサスシンカー)、スプリットシンカー、ダウンショットシンカー、ガン玉、ネイルシンカー、ジグヘッドと呼ばれています。
ショアの堤防釣りでは主にこの6種類のタイプを使用しますが、各々の種類ごとに異なる形状のシンカーが存在するので、そこは釣り方に合わせて使うことになります。
以下にタイプ別にその特徴を簡単に纏めておきましょう。
中通しシンカーの特徴
中通しシンカーの特徴
- ラインがシンカーの内部を通る
- 遊動シンカーとして使える
- 固定シンカーとしても使える
- 誘導で魚の食い込みが良い
- 安価な製品が多い
中通しタイプは、その名の通りシンカーに空いた穴の中にラインを通して使います。
オモリのポジションは意図的に固定しない限り、ライン上を自由に移動することが出来るので、魚がルアーにバイトした時に、シンカーによる抵抗を軽減することができ、魚に与える違和感は少なくなります。
同時に、アタリが手元に伝わりやすいというメリットもあり、ある程度の負荷のある重さでも使いやすいシンカーです。
フックから離れた位置に固定することで、スプリットシンカーとしても使用され、また、ナツメ型オモリを使った遠投仕様のキャロライナリグなど、様々なケースで使える汎用性の高いシンカーと言えます。
また、オモリとしてはシンプルな構造なので、製品価格が安いという特長もあります。
デメリットとしては、オモリが釣り糸上を滑るので、インナーチューブのような保護材が入ってないものはラインに傷を付けることがあります。
あまり安価な製品を使用すると、思わぬラインブレイク(糸切れ)を起こすことになるので、遊動仕様の場合はリーダーの傷に注意を払いましょう。
外通しシンカー(外付け)の特徴
外通しシンカーの特徴
- 釣り糸がシンカーの外面を通る
- シンカーの後付けが可能
- 軽いシンカーでの用途
- コストは高い
外通しタイプは、その名の通りシンカーの外側にライン沿わせるようにして、その両端にある止めゴム(ウキゴム)にシンカーを差し込んで固定します。
予めラインに止めゴムさえ通しておけば、シンカーは後から装着することが出来ます。
中通しタイプと違って、シンカーの交換でラインを切る必要がなく、シンカー交換や位置の調整が簡単で手軽に行えます。
軽いシンカーを使ったスプリットショットリグであれば、使い勝手は悪くはないでしょう。
ただし、このタイプのシンカーには、デメリットも多く存在します。
まず、簡易にセットできる反面、使えるシンカーの重さは数g程度(2号程度まで)であり、ほぼライトゲーム専用です。
また、止めゴムが緩くなると、シンカーを止めている位置がずれたり、最悪シンカーが外れることもあります。
シンカーとしてのコストも高いので、このタイプのシンカーを使う場合は、利便性とコストを天秤に掛ける必要があります。
胴突きシンカーの特徴
胴突きシンカーの特徴
- 底を取るシンカーとして使用
- ワンタッチで交換可能
- 重さのラインナップは広い
- コストは少し高い
胴突きというのはエサ釣りで底オモリの途中にエダス(枝針)が出た仕掛けですが、ルアーフィッシングではエダスに当たる部分にルアーをセットするダウンショットリグがこれに該当します。
それゆえ、このタイプのシンカーはダウンショットシンカーと呼ばれますが、その使い方はリグの先端にシンカーをセットし、底を取るために使います。
シンカーには管付きか、ハリス止めが付いているので、シンカーはワンタッチで交換が可能です。
ボトムの釣りになるため、重さのラインナップは広く、1oz(1オンス:約28g)程度までのシンカーが使用されます。
棒状や球状、ナス型などが良く使用されますが、ルアーフィッシングでは汎用性が高いシンカーではないのでコストは若干高めになります。
ガン玉(ジンタン)の特徴
ガン玉の特徴
- 使用範囲は広い
- ラインを挟みこんでセット
- 重くなるほどバランスが悪い
- セット化されたものが一般的
- 価格は安い
ガン玉は大きさによってジンタンとも呼ばれますが、仕掛けの中で取り付けたい場所で、ラインを挟み込んでセットするオモリです。
エサ釣りではウキ釣り仕掛けでウキの浮力を微調整するのに使われますが、ルアーの場合はスプリットショットで良く使われます。
通常サイズのガン玉(ジンタン)で2号~3B(約0.3g~1g)と軽量ですが、スプリットシンカーとして使うガン玉は1g~5g程度のものがよく使用されます。
もちろんリグの微調整に使うのであれば、軽量のガン玉を使うことも可能です。
ガン玉はラインを挟み込む特性上、ラインに傷を付ける恐れが強く、また、シンカーサイズが上がるほどバランスが悪くなったり、シンカーの位置が下がったりというデメリットがあります。
なお、ガン玉は一度噛み潰すと再利用が困難なので、完全な消耗品と考えておきましょう。
セット化されたものがお得で、コスト的には最も安いシンカーとなります。
ネイルシンカーの特徴
ネイルシンカーの特徴
- ワームに差し込むシンカー
- ボトムを取りやすい
- 海釣りではあまり使わない
- コストは高い
ネイルシンカーはバスフィッシングで初心者でも比較的釣果が得やすい、ネコリグに使用されるシンカーです。
チューニングシンカーとして別途紹介すべきかとも思いましたが、本記事ではワーム用のシンカーを中心に紹介しているので、ここで記載しておくことにしました。
オフセットフックを使わないストレートワームに使用されることが多く、ボトムを取る釣りになるので、海釣りでのターゲットはロックフィッシュがメインになります。
海釣りでは水深と複雑な潮の流れがあるため、少し重め(3g以上)のネイルシンカーを差し込みます。
ネイルシンカーはコストも高く汎用性もないので、海釣りでは次項で紹介するジグヘッドを使う方が圧倒的に多いでしょう。
ジグヘッドの特徴
ジグヘッドの特徴
- フックとシンカーが一体
- リグがシンプルで作りやすい
- 1g未満から50gまで幅広い
- コストは普通
海釣りのワームゲームで最も良く使用されるのが、フックのチモト部分にシンカーが一体となったジグヘッドです。
アジングやメバリングのライトゲームから、シーバス、ヒラメ、マゴチなどの大物まで幅広く使用されるシンカー付きフックです。
それゆえ、シンカーの重さは1g未満のノーシンカーに近いタイプから、50gにも及ぶ超遠投タイプまで幅広く取り揃えられています(船仕様では100gを越えるものもあります)。
シンカーの形状によって、フォールタイプ、スイムタイプ、ダートタイプなどに分かれており、ルアーアクションをコントロールすることが可能です。
ハードルアーと変わらずリグがシンプルで扱いやすく、コストもそれほど高くないので、ジグヘッドを使ったリグはショアゲームの中心的存在となっています。
釣り方に合わせたシンカーの付け方
上記ではシンカーの種類と特徴を紹介しましたが、それぞれのリグには、それに適したシンカーの選び方と使い方というものがあります。
以下では一般的なリグをいくつか取り上げ、それぞれに適したシンカーの付け方と、おすすめのシンカーを紹介したいと思います。
テキサスリグで使うバレットシンカー

テキサスリグで使うバレットシンカー
テキサスリグには中通しのバレットシンカーを使用します。
バレットシンカーは上図のように誘導式で使用する場合と、オフセットフックのチモト上部で固定する場合があります。
誘導式にする場合は、ショックリーダー上にストッパーとしてシリコンゴム止めを入れ、シンカーとフックの間にはビーズなどを入れます。
【お勧めのバレットシンカー】
とにかく安いコスパ最強のバレットシンカーです。
鉛と比べるとコンパクトサイズで高比重のタングステンシンカーは使い勝手が抜群で、使い始めると止められなくなります。
仕掛けの特徴を書き始めると、非常に長くなりシンカーの紹介記事とはズレてきます。
ここでは以下のリグ紹介も含めて、シンカーの付け方を中心としたリグの概要だけを記載しています。
キャロライナリグで使うナツメ型シンカー

キャロライナリグで使うナツメ型シンカー
ディープエリアを探るのに効果的と言われるキャロライナリグでは、中通しのナツメ型シンカーを使います。
スプリットショットに比べると、フックから少し長め(30cm~80cm)のリーダーをとりスイベルを結び、その上にナツメ型シンカーを取り付けます。
シンカーの上部は、シリコンゴムなどで止めてしまうのが一般的です。
【お勧めのナツメシンカー】
コスパの高いナツメ型カラーシンカーです。
ナツメではありませんが、水深のあるソルトウォーターでスローシンキングを実現するキャロリグ専用の定番シンカーはコチラです。
スプリットショットリグに使うスプリットシンカー

スプリットショットリグに使うスプリットシンカー
スプリットショットリグは、ノーシンカーリグのフックから10cm~30cmほど離れた位置に、シンカーを入れる仕掛けです。
このリグでは、ラウンドタイプの噛み潰しオモリであるガン玉(上側)や、外付けタイプのスプリットシンカー(下側)を使用します。
比較的軽いオモリを使うリグで、ズル引きアクションでふわふわとしたナチュラルな動きが得られる初心者にも扱いやすいリグです。
以下にスプリットショットに使えるおすすめのシンカーを、タイプ別に紹介します。
【外付けタイプ】
外付けタイプで良く使われるダイワのアジングシンカーです。
【ガン玉タイプ】
ウォーターグレムリンのラウンドスプリットショットシンカーがセット化された製品で、ラインナップを幅広く用意したい方にお勧めです。
【挟み込みタイプ】
ラウンドタイプではないものもあり、コチラはダイワのワンタッチシンカーで、夜光塗料とラメで視認性とアピール力が抜群なワンタッチシンカーです。
ダウンショットリグに使うダウンショットシンカー

ダウンショットリグに使うダウンショットシンカー
ダウンショットリグはラインの先端にシンカーを付け、ラインの途中にフックを取り付けるリグです。
シンカーには胴突きオモリを使用し、ルアーではダウンショットシンカーという名称で販売されています。
シンカーにはリーダーを結ぶことができる環が付いており、上図のように環ではなくハリス止めが付いている製品もあります。
なお、余談ですが、ダウンショットリグには、ワームをラインに沿って垂直に付けすい専用のダウンショットオフセットを使用しましょう。
【お勧めのダウンショットシンカー】
ボトムがとりやすいランドシンカーで、ハリス止めが付いたワンタッチタイプです。
直リグにはジカリグシンカーを使用

直リグに使うジカリグシンカー
先に紹介したダウンショットリグの一種で、フックのチモトの位置に直接シンカーをセットする仕掛けを直リグ(ジカリグ)と呼びます。
そして直リグに使うシンカーを、ジカリグシンカーと言いますが、これはダウンショットシンカーと同じ類いのものです。
強いて言えば、様々な形状のダウンショットシンカーの中で、ジカリグシンカーに使われるのは長ナス型の棒状シンカーで、円柱タイプと角柱タイプがあります。
コチラももともとバスの仕掛けですが、近年はソルトウォーターでのロックフィッシュゲームで良く使われるようになっています。
【お勧めのジカリグシンカー】
直リグ専用に設計されたデコイのスティック型ジカリグシンカーです。
ネコリグに使うネイルシンカー

ネコリグに使うネイルシンカー
予め断っておきますが、一様に同じワームでリグを紹介しているので、上図ではあまりネコリグの効果が出ないワームが付いています。
もう少し長くて細めのストレートワームが良く、ネイルシンカーの重さでワームのヘッド部分が少し下がるくらいのものが適切です。
ここではネイルシンカーを使ったリグがどのようなものかという点だけご認識下さい。
因みにネイルシンカーはワームの頭部分に差し込むことが多く、少しだけシンカーの先を出したり、完全に差し込んだりします。
シンカーを刺す前に、フックなど先が鋭いもので穴を開けてやると、差し込みやすくなります。
【お勧めのネイルシンカー】
ネイルシンカーと言えば、YMDのタングステンシンカーがお勧めで、まとめ買いができるのでタングステンでもコストが抑えられます。
ジグ単リグで使うジグヘッド

ジグ単リグで使うジグヘッド
ソルトウォーターでソフトルアーを使った釣りをする人のほとんどがジグヘッドを使っていると言って良いほど人気のリグです。
ジグヘッドは表層からボトムまでのあらゆるレンジの釣りが可能で、先に紹介したようにフォールやスイム、ダートなどのアクション性能も使うジグヘッド次第で自由自在です。
リグはシンプルで、ターゲットも選ばず、コストも高くないという、三拍子も四拍子も揃ったリグで、初心者でもタックルさえあればすぐに始めらるおすすめの釣り方です。
なお、おすすめのジグヘッドについては、ターゲット別、タイプ別を考えたときに種類が多くて紹介が困難です。
詳細に書くと別び1本記事が必要になるので、ここではライトゲーム用のジグヘッドをアクション別に一点ずつだけ紹介します。
【リトリーブタイプ】
JAZZのジグヘッドは、他社と比較して圧倒的なコストパフォーマンスを誇るイチオシのジグヘッドです。
【ダートタイプ】
ダートタイプでも、お勧めはやはりJAZZのジグヘッドになります。
以上で、ルアーリグに使うシンカー(オモリ)の種類と付け方の紹介を終わります。
シンカーはフックやラインのように魚との接点はなく軽視しがちなタックルですが、ワームゲームでリグをコントロールする重要な役割を持っています。
また、シンカーの選び方や使い方一つで、ルアーのアクション性能や魚の食いの良さ、ひいては釣果にも影響を及ぼす小道具です。
リグに合わせて多種多様のシンカーを色々と使いながら、使い勝手の良さとコストを天秤に掛けて、自分の釣りに合ったシンカーを探してみましょう。
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