海釣りを始めたばかりの入門者さんや初心者さんの中には、取りあえず始めてみたものの、何も釣れずにどうしたら良いのか分からない方もいるでしょう。
同行してくれる釣り経験の豊富な方が身近にいれば良いでしょうが、皆が皆そういう環境にもないでしょう。
釣りエサ店で話を聞こうにも、そもそも何が悪いか、どのように伝えれば良いのか分からない状況では、うまく伝わらず、聞いた手前あれこれ余計な物を買うはめに成りかねません。
本当は出掛けた釣り場で、気の良さそうな常連っぽい釣り人にどうやったら釣れるのか聞くのが一番良いのですが、やはり腰が引けてしまいますね。
そんな方におすすめの釣り方として、胴突き仕掛けを使った探り釣りという、五目釣りが出来る釣り方があります。
堤防釣りでは、主に際釣りや脈釣りと呼ばれる波止際を探り歩きながら釣る方法になりますが、胴突き仕掛けではカサゴやメバルなどのロックフィッシュを中心に、様々な魚が狙えます。
ここでは、そんな胴突き仕掛けについて、タックルの仕様や仕掛けを構成する小物の釣具について紹介するとともに、際釣りで釣れる魚の種類についても合わせて紹介します。
胴突き仕掛け:初心者向けの簡単な探り釣り仕掛け
探り釣りは、ウキ釣りや投げ釣りと合わせて波止釣りの三大釣法の一つと呼ばれていますが、探り釣りには先に少し触れた際釣りを始め、脈釣りや穴釣りなどといったいくつかの釣り方の種類があります。
いずれの釣り方も、魚のいる場所を探りながら釣る方法ですが、それぞれの釣り方にはそれぞれに適した仕掛けがあります。
そんな中で、波止際に付く魚を狙う際釣りに最も適した仕掛けが、胴突き仕掛けということになります。
なお、波止釣りの三大釣法にご興味のある方はコチラをどうぞ
それでは、最初に胴突き仕掛けの特徴について、少しばかり紹介しておきましょう。
胴突き仕掛けとは
胴突き仕掛けは、海釣り仕掛けの中では比較的シンプルで、初心者でも扱い易い仕掛けです。
ファミリーフィッシングに代表されるアジやイワシを釣るポピュラーなサビキ釣りも、胴突き仕掛けの一種と言えます。
ただし、同じ胴突き仕掛けを使った釣りでも、探り釣りでは撒きエサを使わずに、以下のような釣り方で魚のいるポイントを直接狙っていきます。
図の左側の釣り人は波止際の捨て石付近を探っているところで、このような釣り方を際釣りや脈釣りと言います。
また、上側の釣り人は波止から少し離れた海底にある根の付近(シモリと言います)を探っていますが、このような釣り方をチョイ投げと言います。
仕掛けを足元に落とすか、キャスティングして釣り糸を張った状態でアタリ(魚信)を待つかという違いですが、ここではいずれの釣り方にも胴突き仕掛けが使用されています。
魚のアタリは、竿を手持ちしていればロッドを通して手に伝わる感覚で捉えることが出来ますが、例え置き竿していても、竿先に出るアタリを視覚的に捉えることもできます。
胴突き仕掛けを一言で簡単に紹介すると、仕掛けの底にオモリを付けて、その上の釣り糸部分から枝が出ているかのように釣り針が複数セットされた仕掛けになります。
仕掛けの詳細は後ほど詳しく紹介しますが、胴突き仕掛けの各部分の名称だけ先に紹介すると、仕掛けの胴の部分から出ている釣り糸と釣り針を合わせて【枝針(えだばり)】と言い、使われている糸(ハリス)を【エダス】と言います。
また、枝針が結ばれている仕掛けの胴の部分にあたる釣り糸のことを、【幹糸(みきいと)】や【モトス】と言います。
幹糸の上下には、サルカンやスナップ付サルカンをセットし、仕掛けの下側にはオモリを取り付け、上側にはリールからくる道糸を結ぶようになっています。
仕掛けとしては非常にシンプルですが、一から自分で作ろうと思うと少しばかりテクニックが必要になるため、ほとんどの釣り人は胴突き仕掛けは完成仕掛けを購入して使用しています。
上記で紹介した胴突き仕掛けの特徴を、以下に簡単に纏めておきましょう。
胴突き仕掛けの特徴
- 底オモリをセットする仕掛け
- 複数の枝針を使うのが一般的
- 際釣りや脈釣り、チョイ投げで使用
- アタリは触覚と視覚で捉える
- 完成仕掛けが多種多様に販売
際釣りや脈釣りで五目釣りが楽しめる【胴突き仕掛け】
まずは、五目釣りに向いた胴突き仕掛けの概要図を示します。
上図の胴突き仕掛けは、一般的に販売されているような仕様のものを記載しています。
五目釣り向けであれば、特別な仕掛けを自分で作る必要はありません。
先ほども紹介した通り、胴突き仕掛けを一から作るにはそれなりに経験が必要なので、始めは完成仕掛けを購入して使えば良いと思います。
ある程度、釣りの知識と経験値が増え、ラインや釣り針などのタックルも豊富に所有するようになれば、ターゲットに合わせた仕掛けを自分で作るのも良いと思います。
それでは、使用しているタックルと仕掛けについて、もう少し詳しく紹介しておきましょう。
胴突き仕掛けのタックルと釣具
【釣り竿】
10号程度の船竿や探り釣り用のロッド、汎用性の高いルアーロッド(シーバスロッドやエギングロッド)など、少し硬めの先調子のロッドであればなんでも結構です。
際釣りだけだと長さは、1.5m前後でも良いのですが、少し前に出したりチョイ投げしたりすることも考え、新たに用意するなら2.4m程度のものがお勧めです。
【リール】
探り釣りは根回りを攻める釣りなので、パワーがあって縦の釣りに向くベイトリールが適切で、これはチョイ投げにも対応可能です。
ただ、際釣りだけなら小型の両軸リールでも十分使用できます。
もちろん、スピニングリールでも使用できるので、この場合は2000番程度のものを使うのが良いでしょう。
【道糸】
道糸にはナイロンラインの3号を巻いておけば、ここで紹介している胴突き仕掛け以外の他の釣り方でも幅広く使えます。
【モトス(幹糸)】
モトスはフロロカーボンなどハリの強いもので、ここでは1.5号を1mほど取った仕掛けとしています。
五目釣りを対象としていることから、底だけでなく中層を含めて釣る仕様にしています。
底の根回りのみを狙うのであれば、もう少し強度のあるモトス(2号~3号)を使うのが一般的です。
水深のある釣り場など、探る範囲を広くする必要がある場合は、モトスの長さを長くした仕掛けを使います。
【エダス】
エダスはモトスと同じくフロロカーボンなどハリの強いものを使い、ここでは1号を10cmほど取った仕掛けとしています。
五目釣りを対象としていることから、底だけでなく中層を含めて釣る仕様にしています。
底の根回りのみを狙うのであれば、もう少し強度のあるエダス(1.5号か2号)を使うのが一般的です。
また、エダスは2本あるいは3本とするのが一般的で、底物をメインで狙う仕掛けでは、一番下のエダスの位置はなるべくオモリに近い位置にセットします。
【釣り針】
チンタメバル針(メバル針)の7号~9号程度が、ターゲットやエサを選ばずに使いやすく、メバルなどの繊細な魚に対しても効果的です。
それ以外であれば、特に底物が中心であれば、丸セイゴの8号~10号を使うのが良いでしょう。
【サルカン】
モトスの上下には、スナップ付サルカンをセットするのが一般的で、12号前後のものを使用すれば良いでしょう。
道糸のサルカンへ結び方は、基本的な結び方のクリンチノットやユニノットでも十分です。
【オモリ】
仕掛けの底にはスナップ付サルカンが付いているので、ここへ5号程度のナス型オモリをセットします。
オモリの重さは、水深の深さや潮の流れ、チョイ投げの有無などで、仕掛けを扱いやすいように交換してやります。
(水深が深いほど、潮の流れが強いほど、またキャスティングをする場合は、もう少し重めの10号程度までのものへ交換してやります。)
胴突き仕掛けは完成品を使用すれば、仕掛け作りの結ぶという操作が1箇所だけしか必要としませんので、初心者にとってはセットしやすい仕掛けです。
道糸を結ぶ1箇所ですが、まだ釣り糸の結び方をご存知ない初心者さんは、以下の記事にあるクリンチノットを合わせて覚えておきましょう。
胴突き仕掛けのメリットとデメリット
それでは、胴突き仕掛けのメリットとデメリットについても、書き出しておきましょう。
胴突き仕掛けのメリット
・浅棚から深棚まで攻められる
・モトスの幅で探れる
・複数のエサを付けられる
・上下の誘いをかけやすい
・根掛かりしにくい
・様々な種類の魚が狙える
胴突き仕掛けでは底付近を狙う釣りが基本ですが、際釣りや脈釣りに代表されるように、縦に探りを入れる釣り方は、浅棚から深棚まであらゆる棚をターゲットとして攻めることができます。
仕掛けを底まで沈めた場合においても、モトスの幅の分だけ探れる範囲を広く取れるという点は、胴突き仕掛けの最大のメリットです。
また、胴突き仕掛けでは複数の枝針を使用するので、知らないうちにエサが取られていても、残りの針にはエサが付いているという状況を維持できます。
枝針ごとに違うエサを付けて、その日の食いの良いエサを探るといった釣り方も可能です。
底にオモリが付いた胴突き仕掛けは、上下の誘いが掛けやすく、上から落ちてくるエサに反応する魚は殊のほか多いので、ターゲットによってエダスの長さが違う仕掛けを使うのも効果的です。
なお、底オモリの胴突き仕掛けは、底針仕掛けに較べると根掛かりは軽減できますが、前述のエダスの長さは根掛かりのしやすさにもつながりますので、底物を狙う場合ほど短いものを使う方が良いでしょう。
胴突き仕掛けを使った釣りでは、様々な対象魚を狙うことができますが、この点については次項にて狙って釣れる魚を一挙に紹介します。
胴突き仕掛けのデメリット
・仕掛けの修復は困難
・完成仕掛けはコストが割高
・大物対応は仕掛け強度次第
胴突き仕掛けにはメリットだけでなく、デメリットもいくつか存在します。
メリットは釣果が得やすいといった内容が中心となっていましたが、デメリットは仕掛けのリカバリーが困難なこととコストの問題が中心となります。
仕掛けの根掛かりやモツレによって釣り針を失ったり、エダスにヨレが生じたりするなど、完成仕掛けではトラブルが発生した場合に、どうしても仕掛け全体を交換する必要が生じます。
根回りを攻める釣りでは、使っているうちに糸にスレなども生じるので、仕掛けを自分で修復できないうちは、どうしてもコスパは悪くなります。
ただ、根回りを攻める釣りでは、根掛かりなどによる仕掛けのロストは避けられませんので、コスト面はテクニックの向上で補っていくように考えましょう。
あともう一点、釣り糸は短ければ短いほど伸びが期待できなくなるので、急な衝撃に弱くなります。
ここで紹介したような胴突き仕掛けは、エダス部分がかなり短いため、使う仕掛けの強度次第では不意の大物への対応は難しくなります。
五目胴突き釣り仕掛けで狙える魚たち
それでは、最後に堤防釣りの五目胴突き釣り仕掛けで、狙って釣れる魚たちを紹介します。
あくまで、メジャーなものだけを取り上げているので、ここで紹介した魚以外にも、もちろん釣れる魚はいます。
写真の上段左上から順に、『カサゴ(ガシラ)』、『メバル』、『アイナメ』、『ソイ』
写真の中段左上から順に、『アコウ』、『アナハゼ』、『ベラ(キュウセン)』、『チャリコ(タイの幼魚)』
写真の下段左上から順に、『カワハギ』、『セイゴ(スズキの幼魚)』、『クロダイ(チヌ)』、『サンバソウ(イシダイの幼魚)』
先に紹介した通り、胴突き仕掛けでは底中心の釣りになるので、上記の魚はすべて釣り上げることが出来ます。
他にも中層付近を中心に狙うと、『木っ端グレ(メジナの幼魚)』や『バリコ(アイゴの幼魚)』、『ウミタナゴ』、そして、回遊があれば『アジ』や『サバ』も釣ることができます。
更に狙って釣るには基本的にチョイ投げが必要ですが、場所によっては『キス』や『カレイ』などが釣れることがあります。
すなわち、波止釣りで釣れるメジャーな魚の大半は、胴突き仕掛けでも狙って釣ることができるということです。
ただし、上記を見てお気づきの方もいるかもしれませんが、ロックフィッシュを除けば、胴突き仕掛けで釣れる魚のサイズは一回り小さく、大物が潜む魚でも、釣れるのは幼魚レベルが中心だという特徴があります。
これはこの釣りに限ったことではなく、五目釣りで色々な魚が狙える釣りでは、釣れる魚はワンサイズ小さいものが多いと思っておいてもらって結構かと思います。
以上で、初心者向けの簡単な五目胴突き釣り仕掛けの紹介を終わります。
波止際を探り歩きながら際釣りや脈釣り(チョイ投げも含めて)は、上記以外のエサ取りなどのヒットも含めて、比較的ボウズの少ない釣りです。
初心者さんでも、手軽に様々なターゲットを仕留める楽しみを十分に味わえます。
しかも、メインターゲットはカサゴやメバル、アイナメなどの、釣って楽しい食べて美味しい人気のロックフィッシュが中心です。
これから釣りを始める方にも、取り組み始めやすい釣りなので、機会があれば是非とも胴突き仕掛けの釣りに取り組んでみて下さい。
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