前記事では、海釣りの入門者さん向けに、基本知識として海釣りができる場所を紹介しました。
防波堤(波止、護岸)、砂浜(サーフ)、磯、船上(海上)などについて触れましたが、有料の海釣り施設や設備については、紹介し切れませんでした。
海釣り公園や海上釣堀に代表される有料の釣り場は、四季を通して様々な釣りが楽しめ、通常の波止釣りでは滅多に釣れないような大物を手軽に狙えるという、一味違う楽しさも味わうことが出来ます。
ここでは、海釣りにおける有料の釣り場の種類と、それぞれの場所で行える釣りの特徴について紹介します。
初心者でも安心・安全! 海釣り公園などの有料釣り場や施設を利用しよう
海釣りが出来る場所を紹介した時と同じように、海釣りにおける有料の釣り場(施設や設備)について、先に結論から伝えてしまいましょう。
海釣りが出来る有料の釣り場(施設や設備)
- 海釣り公園
- 海上釣堀
- 筏
- カセ
釣りを楽しむのに、駐車場や渡船、船釣りを除いて、お金がかかる釣り施設といえば、ほぼ上記の4施設と言えます。
釣りの入門者さんには、馴染みのない(聞いたこともない)釣り場かもしれませんが、これらの釣り場は、条件さえ合えば意外と初心者さんにもお勧めの釣り場となっています。
それでは、有料釣り場をお勧めする理由も含めて、一つずつ紹介していきましょう。
海釣り公園は安心・安全、便利、快適かつ釣果が伴うお勧めの釣り場
『海釣り公園』というのは、比較的潮通しの良い外海向きで、魚影の豊富な場所に整備された釣り施設です。
施設の構造は、防波堤か釣り桟橋となっているものが多く、場所によっては筏が連結されていたり、次章で示す海上釣堀が併設されていたりします。
近年開設された海釣り公園は、人口の漁礁が沈められていることが多く、一年を通して四季折々の魚が釣れます。
また、通常の波止で釣れる魚よりもワンサイズ大きい釣果と、場所によっては沖提や船釣りで釣れるような魚の釣果も期待できます。
海釣り公園で釣れる魚の種類は、波止釣りで釣れる魚の種類と一緒に別の記事で紹介します(近日公開予定)。
こちらは神戸市にある平磯海釣り公園の写真ですが、この釣り場は護岸タイプとなっています。
波止の端には絶妙な高さで安全策が設置されており、小さなお子さんがいても安心して釣りが楽しめます。
何気に設けられた腰掛けも、楽に釣りできるようサポートしてくれます。
ほとんどの海釣り公園では、施設内に売店があり、釣り道具や釣りエサの販売、仕掛け付きの釣り竿一式がレンタルできます。
本格的に始めるかどうかは分からないが、興味本意でちょっと釣りの経験でもしてみようと思う方には、手ぶらで出掛けて釣りができる海釣り公園はピッタリかもしれません。
もちろん、駐車場もトイレも完備されています(駐車場代は別という所が多いです)ので、お金さえ持っていれば、何一つ心配は入りません。
こちらも神戸市にある海釣り公園ですが、ここは非常に大きな海釣り公園で、総合釣りレジャー施設とでも言えるほど、充実した施設となっています。
海釣り公園もある程度の規模になると、食堂も併設されているので、釣りだけが楽しむわけではないファミリーさんや、まだ釣りに慣れていない初心者さんには、本格的な息抜きができて良いのではないでしょうか。
また、須磨海釣り公園は基本的に釣り桟橋となっていますが、ここには桟橋と網で囲われたマダイの釣堀も併設されています。
釣り堀では釣りそのものの料金は不要ですが、マダイを釣り上げると買い取らなければならないという、通常の海上釣堀とはちょっと異なるシステムを持つ釣り場でもあります。
なお、海釣り公園の入園料は500円~2,000円位までと幅があり、施設によって様々です。
利用時間も終日料金のところもあれば、上記の神戸市にある2つの海釣り公園では基本が4時間で、それ以上は追加料金というシステムのようなケースもあります。
さらに、海釣り公園の多くでは、釣りをせずに見学するだけの場合は、入園料だけの低料金で入園することができます。
近くにこのような施設がある場合は、釣りを始める前に、一度様子だけでも見に行ってみると良いですね。
海釣り公園は料金こそ必要ですが、安心・安全・快適に釣りが楽しめる、初心者向きの釣り場の一つでもあります。
海上釣堀では、コストは掛かるも釣れる魚の魅力は大きい
次に紹介するのは、これまた初心者さんでも手軽に楽しめて、しかも大物の釣果が得られる『海上釣堀』という施設です。
海上釣り堀の多くは、上図のようにフロートの上に筏を乗せ、筏の周りにはネットが張ってあり、筏の内部(ネット内)に魚が放流されています。
先程の桟橋を利用したものや、護岸の一部に設置された釣り堀もありますが、ほとんどの施設に共通しているのは、湾内の穏やかな場所にあり、例え筏であっても強く揺れたりはしません。
非常に安全性が高く、目の前の足元が釣り場なので、キャスティングなどの技術も必要なく、お子さん、女性、初心者さんの誰もが手軽に大物を狙えます。
海上釣堀も海釣り公園と同じように、基本タックルはレンタルでき、追加の仕掛やエサも施設で調達できるので、これまた手ぶらで釣りを楽しむことができます。
そして、海上釣堀では40cmや50cmもある魚が普通に釣れますが、釣れるのが嬉しい反面、魚の処理に自信がない方もいると思います。
そんな方でも、有料にはなりますが、魚の処理もしてもらえますので、これまた何の心配も要りません。
一つだけ大きな難点があるのは、言わずとも分かるかもしれませんが、コストの高さ(料金の高さ)ですね。
海釣り公園と違って、目の前の網にマダイ、ハマチ、カンパチ、シマアジなどの大物をはじめ、天然ヒラメ、ブリ、天然イシダイなどの高級魚、時にはマハタやクエなどの超高級魚まで飛び出してくるわけですから、やはり最低でも10,000円~で考えておく必要があります。
近年は都市部に近い場所にも釣り堀が増え、コストは場所や放流している魚種にもよりますので、興味のある方は、色々と調べてみると良いでしょう。
ココがダメ
筏(イカダ)、カセは低料金で、船釣りで釣れるような四季折々の釣りを楽しめる
有料の釣り施設を利用される方の大半は、上記で紹介した『海釣り公園』か『海上釣り堀』になります。
ただし、利用者は少なくとも、一応『筏(いかだ)』や『カセ』といった釣り場も存在し、その中には初心者さんでも楽しめるような場所もあります。
簡単にだけ、筏とカセについても触れておきましょう。
写真のように筏はフロートと呼ばれる浮力体の上に、木材で基礎を組み上げ、その上に板を敷き詰めた構造になっています。
筏は潮で流されないように海底に掛けたアンカーからロープで固定され、また、同じ場所に複数筏を浮かべている場合は、筏同士を連結させていたりします。
数人程度しか乗れない小型のものから、10人以上の大人数で釣りが出来る大型のもの、上図のように筏同士を連結させたものまで様々で、最近では日除けやトイレが常設されているものも多くなっています。
筏は比較的波が穏やかな湾内の魚影が濃い場所に浮かべられていますが、筏へは船に乗せてもらって渡ることも多くなります。
海釣りを嗜む人にとっては、筏での釣りといえば、チヌの掛かり釣りばかりがイメージされますが、実は初心者向きの五目釣りが出来る場所も多くあります。
カレイやキスなどの底物、メバルやガシラなどのロックフィッシュ、チヌやグレなどの上物、スズキや青物の大物、マダイやヒラメなどの高級魚、最近ではアオリイカをやる人も多くなっています。
筏での釣りは、波止釣りや海釣り公園と違って、場所が限定されてしまいがちですが、安ければ2,000円、高くても5,000円までですので、船釣りや海上釣堀よりもずっと安く、渡船料に少し足す程度の料金で楽しめます。
安全性も高く、コスト的にも納得できるもので、筏は初心者さんには意外とお勧めの釣り場だと思います。
ココに注意
筏と似通った釣り場で、廃船となった小舟を使用したものを『カセ』と呼びます。
カセ釣りは2種類のケースに分けられますが、上の写真は真珠の養殖筏にカセを掛けたものです。
養殖イケスは人工の漁礁となったり、イケス外の魚のエサ場にもなりますので、その周りには様々な魚が居着きます。
もちろん回遊魚も周ってきますので、養殖イケスに付けたカセでは様々な魚が釣れます。
釣れる魚の種類は、概ね筏で紹介した魚と同じようなものと考えておけば良いでしょう。
もう一つのカセは、カセを動力船で引っ張って行き、釣りポイントでアンカーを降ろして釣るケースです。
アンカーで固定されるので、船が流されることはなく、これまた湾内の穏やかな場所での釣りになりますので、安心して釣りが楽しめます。
船釣りで釣れるような大物の期待や、四季折々の様々な魚を、自由な釣り方で楽しむことが出来ます。
そして、カセ釣りの最大の魅力は、やはり釣りの同行者だけのスペースで船釣りを楽しめるといった点でしょう。
それゆえ、好きな時間に乗船して、帰る時間も自由に選べるというメリットがあります。
カセは筏と同じ業者が運営しているケースが多いですが、筏より少し割高になっており、概ね一人4,000円~7,000円程度と考えておけば良いでしょう。
釣り場のルールや釣りのマナーを守って、安心・安全に釣りを楽しもう
いかがでしょう、海釣りの有料釣り場や施設について、少しでも理解が深まりましたか。
最後になりましたが、有料の施設や釣り場にはそれぞれルールがあり、その内容は『安全に釣りを楽しむ為のもの』、『他人に迷惑を掛けない為のもの』、『環境に配慮する為のもの』などになります。
いずれも安全で快適に釣りを楽しむための重要な要素になりますので、ここで紹介したような釣り場を利用する際には、一般的な釣りのマナーに加えて、各々の釣り場のルールも念頭に入れて釣りを楽しみましょう。
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