これから海釣りを始めようとする入門者さんや、まだまだ始めたばかりの初心者さんには、釣果を得るまでに乗り越えるべき多くの壁があります。
まずは基本的な海釣り(堤防釣り)の知識を十分に身に付けるというのも重要ですが、本やインターネットで情報を得るばかりでは前に進みません。
いざ行動に移るとなった時に、最初の第一歩は最低限の釣り道具と基本タックルを用意するという問題に直面しますが、この点については既に別記事にて紹介しました。
今回はさらに一歩進んで、タックルを用意した後、いざ海釣りを実践する時に役立つ、仕掛けの作り方について紹介します。
タックルのセット方法~といった一からの解説となりますので、内容は概ね入門者さんや初心者向けとなります。
ただし、仕掛けについては市販の完成仕掛けを使うのではなく、先々のことも考えて自分で組み上げる仕掛けを一例に取り上げ、仕掛け作りの流れ全体を紹介します。
エサ釣り仕掛けの作り方 ~海釣り初心者向け~
堤防釣りにおいて、エサ釣りでよく使われる釣り方は、大きく分けるとウキ釣り、探り釣り、投げ釣りに分類されます。
これから釣りを始めようとする方なら、釣りといえば何となくウキ釣りがイメージされるのではないでしょうか。
そこで、堤防釣りで最も一般的に使用される、【遊動ウキ釣り仕掛け】の作り方を一例に取り上げてみようかと思います。
仕掛けの情報を探していると、上図のように仕掛けが図解されているのを良く見かけると思います。
これは仕掛けの完成図になりますが、いくらか釣りを経験すれば、この図を見て同じように仕掛けを作ることは、決して難しい作業ではありません。
ただし、入門者さんの場合には簡単ではなく、もう少し具体的な手順が欲しいと思う方もいるでしょう。
ここでは、ロッドへのリールのセットから、仕掛けの完成に至るまで、出来るだけ具体的な操作手順を紹介します。
タックルの準備と仕掛けのセットの手順
まずは、上図の仕掛けが出来るまでのフローを示します。
仕掛けの作り方フロー
- ロッドにリールをセットする
- ガイドに道糸を通す
- 道糸にシモリ玉を入れる
- 道糸に遊動ウキを入れる
- カラマン棒をセットする
- 道糸にサルカンを結ぶ
- ロッドを伸ばす
- サルカンにハリスを結ぶ
- ハリスに釣り針を結ぶ
- ウキ止めの糸を結ぶ
- ガン玉でウキの浮力調整する
完成仕掛けの図だけでは見えてこない仕掛けの作り方ですが、ステップごとに分けると、これだけ細かい手順に分かれます。
作業内容の一部については、順番が入れ替わっても問題にならない部分がありますが、一つずつの作業手順には、実はこの手順が適切だという理由があります。
仕掛けの一部が変わったり、使う釣具の種類が変わると、適切な手順も多少変わるということは、念頭に置いておきましょう。
遊動ウキ仕掛けの作り方
それでは、仕掛け作りの各ステップを、写真で確認しながら説明していきましょう。
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1ロッドにリールをセットする
対象魚によってタックルの負荷は変わりますが、ここでは磯竿の1.5号とスピニングリール2000番を使用しています。
仕掛け作りのスタートは、ロッドに付いているリールシートに、スピニングリールをセットするところから始まります。
図は『プレートシート』と呼ばれるタイプのリールシートで、通常の磯竿の場合は、スライド固定式のこのタイプがセットされています。
セット方法はワンタッチの掛け具のロックを外せば固定用パーツがスライドするので、リールフット(リールを竿に取り付ける部分)を挟み込んで、掛け具で再びロックするだけです。
難しい操作ではありませんが、リールがガタガタと動かないように、シッカリと挟み込んで下さい。
なお、釣竿が遠投モデルの場合や、キャストを繰り返すルアーロッドなどの場合は、『パイプシート』と呼ばれる、ナットを回転させることで、固定用のパーツが開閉するタイプもあります。
リールを固定する強度は、パイプシートの方が優れていますが、手軽で使いやすいのはプレートシートです。
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2ガイドに道糸(ライン)を通す
ラインのベール(ベールアーム)を上げて道糸(ライン)をフリーにすると、道糸がスプールから好きなだけ引き出せます。
道糸を引き出しながら、ロッドのガイドへ道糸を通していきます。
もちろん、下方のガイド(元竿側)から上方のガイド(穂先側)へ、全て順番に通していきましょう。
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3道糸にシモリ玉を入れる
次に小物の釣具をセットしていきますが、まず最初はシモリ玉を通します。
シモリ玉は、道糸上を自由に移動することができますが、ロッド側に結んだウキ止めの糸を越えることはできず、そこで止まります。
なお、シモリ玉の多くはテーパー状の穴開いていて、穴の両側で大きさが異なっています(左図のシモリを見ると、手前から奥へ行くほど穴が小さくなっているのが確認できます。)。
シモリは道糸を通し始める側が、小さな穴になるように通しましょう。
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4道糸に遊動ウキを入れる
遊動ウキの根元は環状になっていたり、図のようにサルカンが付属していたりします。
ここでは棒ウキを取り上げていますが、丸ウキなどウキの形状が変わっても同じです。
ただし、どんぐりウキなど中通しウキと呼ばれるタイプのウキは別です。
この環の中へ道糸を通してやる(中通しの場合は、ウキの中を通す)と、シモリ玉と同じように、ウキは道糸上を自由に移動することができます。
そして、シモリ玉がウキ止めによって止まった位置で、遊動ウキも止まります。
なお、シモリ玉を入れているのは、遊動ウキの大きな環が、ウキ止めを越えてしまうのを防ぐのが目的です。
【ウキペット(シモリペット)】と呼ばれるシモリとスナップが一体となった釣具もあり、これを使うとウキにシモリの役割を持たせ、さらにワンタッチでウキを交換できるようになります。
便利グッズの一つですが、メリットもあればデメリットもあるので、また機会があれば紹介しましょう。
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5カラマン棒をセットする
カラマン棒のセットは、ウキゴムを道糸に通してから、ウキゴムに棒を差し込みます。
図のように棒の両側にウキゴムを入れるものもあれば、片側だけのタイプもあります。
カラマン棒には、ハリスを結んだサルカンからウキとの距離を開けることで、仕掛けの絡みを防止してくれる働きがあります。
カラマン棒は、必ずしもウキ釣り仕掛けに必要な釣具ではありませんが、仕掛けをコントロールしやすくなるので、便利グッズの一つとして使用する人は多くいます。
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6道糸にサルカンを結ぶ
次に道糸の端にサルカンを結びますが、ここで初めて『結ぶ』という操作が発生することになりました。
実は仕掛けを作るという操作の大半は、この『結ぶ』という操作になり、結ぶ作業以外ではほとんど時間を要しません。
これは、ここで紹介している遊動ウキ釣り仕掛けに限ったことではなく、他のいかなる仕掛け作りにおいても同様です。
そして、結び方には多くの種類がありますが、それをここで紹介していくと、内容が膨れすぎて趣旨が逸れてしまうので、釣り糸の結び方については、おいおい少しづつ紹介していきます。
まだキチンとした結び方を知らない初心者さんには、まずは【クリンチノット】と呼ばれる簡単な結び方を覚え、サルカンを結ぶのがお勧めです。
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7ロッド(釣り竿)を伸ばす
ある程度の所まで仕掛けを作り、道糸に軽い負荷が掛かる状態になれば、釣り竿を伸ばしていきます。
穂先から順番に引き出していきますが、ガイドが下向きになるよう、一つずつ固定しながら伸ばしていきましょう。
ココに注意
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8サルカンにハリスを結ぶ
サルカンにハリスを結ぶのは、道糸を結ぶ時と同じようにクリンチノットで結べばOKです。
ハリスを結び終えてから、必要とするハリスの長さに、針結びに必要な長さ20cmほどを足してカットします。
ハリスにスプールの巻きグセが付いている場合は、50cm程度ずつ軽く両側に引っ張って、真っ直ぐに伸ばしておきましょう。
なお、ハリスは傷が付くといざという時に切れやすくなるので、地面に擦れないように空中に浮いた状態で扱いましょう(そのために、先にロッドを伸ばしてあります)。
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9ハリスに釣り針を結ぶ
釣り針に糸を結ぶ方法もいくつか種類がありますが、最も簡単で一般的な方法は【外掛け結び】といい、初心者さんはまずこの結び方を覚えましょう。
釣り針を結ぶ操作は、サルカンのような環になった所へ結ぶよりも、難易度が高くなります。
エサ釣りにおける釣り針は、魚との唯一の接点になり、シッカリと結んでおかないと、掛けた魚をバラして後悔することになります。
ハリス付きの釣り針がターゲット別に販売されていますので、初心者さんの場合は、まずはこのような製品を使う方が無難とも言えます。
さらに詳しく
初心者のうちはハリス付の釣り針を使っても良いですが、針の結び方をマスターしておかないと、釣り針が切れた場合や、針の大きさを交換したい時に、ハリスごと交換する羽目になります。釣り方や仕掛けによっては、非常にコストが掛かる釣りになってしまうので、釣り針の結び方は早いうちにマスターしましょう。
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10ウキ止めの糸を結ぶ
釣り場や狙う魚によって、狙う棚(深さ)は変わりますが、合わせたい棚となるべく近いところへウキ止めをセットします。
棚の変更や微調整は、実際に釣りを開始してから行います。
ここでは、糸タイプのウキ止めを結ぶ仕掛けなので、この作業はある程度仕掛けが完成に近づいた段階でOKです。
ウキ止めは頻繁に移動させると緩んできて、勝手にセッティングが変わってしまうことがあります。
結ぶ時にシッカリと結びことと、釣りを始めてからも時々は、シッカリと固定されているか確認するようにしましょう。
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11ガン玉でウキの浮力を調整する
使用するウキには、それぞれ適切なオモリ負荷があり、軽い仕掛けでは【ガン玉】や【割ビシ】と呼ばれるオモリを使います。
自立ウキの場合はそれほど気にする必要もありませんが、それ以外ではガン玉などをセットすることによって、ウキの状態を視覚的に調整します。
基本的に重いオモリほど釣針から離れた場所へセットし、ガン玉の中でも小さなものは、ある程度針に近いところへ打ってもOKです。
ガン玉には潮流に対する仕掛けの馴染などの働きもあり、セットする位置もその時々の必要性によって変わります。
なお、ウキの浮力が大きく、中通しオモリなどをセットする仕掛けの場合は、サルカンより上の道糸部分へセットしましょう。
ウキの浮力調整と棚合わせを行えば、遊動ウキ釣り仕掛けの完成です。
いかがでしょうか、仕掛けを作るという操作について、理解は深まりましたか。
少なくとも仕掛けの完成図を見ただけではイメージできなかった操作が、少しでも具体的にイメージできるようになっていれば幸いです。
どのような釣りに対しても言えることですが、仕掛けは釣果に影響を及ぼす主要因の一つなので、適切な作り方を覚えて、キッチリとしたものを作れるように慣れていきましょう。
なお、記事中に記載しましたが、仕掛けの作り方を覚えるには、『結ぶ』という操作が必須要素なので、次回は本記事で出てきた、【クリンチノット】、【外掛け結び】、【ウキ止めの結び方】の3種類の結び方について詳しく紹介します。
【追記】基本結び3種類に関する紹介記事を追加しました。
もう一点、まずはウキ釣りから始めようと考えている初心者さん向けに、波止の五目釣りに向いた2種類のウキ釣り仕掛について、具体的に紹介した記事もありますので、興味のある方は是非ともご覧下さい。
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