堤防釣りの中で、テトラや石畳の隙間へ仕掛けを落とし、カサゴやアイナメ、アコウ、メバルなどロックフィッシュ(根魚)を釣る釣り方を穴釣りと言います。
ロックフィッシュの中でも、特にカサゴ(ガシラ)は、シンプルな穴釣り仕掛けで初心者でも簡単に釣れる対象魚です。
穴釣りは釣れる時期や時間帯を選ばないオールシーズン楽しめる釣り方で、海釣りには厳しい真冬の厳冬期でも釣果が得られる釣法です。
冬場の堤防釣りではボウズのリスクも高いので、何も釣れない時にちょこっと穴釣りでお土産を確保というようなことも可能です。
また、穴釣りは釣り場やエサも問わず、使用するタックルも安価なものばかりなので、財布にも優しい釣りだと言えるでしょう。
ここでは、釣りの入門者さんや初心者さんにも分かりやすいように、穴釣り仕掛けとおすすめのタックル、仕掛けの作り方などについて紹介します。
穴釣り仕掛け ~簡単タックルでテトラの穴釣り~
穴釣り仕掛けは、大きく分けると2つ種類に分かれます。
ロッドやリール、道糸(ライン)は共通のタックルですが、仕掛け部分を自作する場合と、ブラクリと呼ばれる完成仕掛けを使用するケースです。
ここでは、前者の仕掛け部分を自作する方法について紹介します。
穴釣り仕掛け
まずは穴釣り仕掛けの概要について、イラストで紹介してみます。
穴釣り仕掛けのうち、ロッドやリール、道糸(ライン)は共通のタックルで、仕掛け部分だけを3種類で記載してみました。
図で見ての通りですが、穴釣り仕掛けは非常にシンプルで簡単に作れる仕掛けです。
タックルや仕掛けの概要を個々に説明していきましょう。
穴釣りのおすすめロッド(釣竿)
テトラの穴釣りでは、足元のテトラの隙間に垂直に仕掛けを落としていくので、穴釣りロッドには1m~1.5m程度の短竿を使います。
短いロッドなので、写真のように2ピースのロッドが多く、1mを切るロッドには1ピースもありますが、もちろん更に仕舞寸法が短くて済む振出竿もあります。
ロッドの強度はオモリ負荷で5号~15号程度、胴がシッカリとした硬めの先調子のロッドを用意します。
ポイントとなる穴の奥は、周囲がすべて根(シモリ)であるため、魚に潜り込まれやすく、また根掛かりの多発地帯です。
筏竿などを使用するケースもありますが、柔らかすぎるロッドは上記の理由でおすすめはできません。
そうはいっても、釣り竿の穂先でアタリを取る釣りなので、硬すぎるロッドは魚の食いを渋くします。
【穴釣りロッドのおすすめ製品】
参考
穴釣りのおすすめリール
シマノ(SHIMANO) ベイトリール 黒鯛リール クラブデミ 15RL ブルー 3号糸付き 穴釣り
穴釣りリールでは、スピニングリール、ベイトキャスティングリールのいずれも使用できます。
ただ、穴釣りは前述のように足元のテトラの隙間に垂直に仕掛けを落とす縦の釣りなので、キャスティング性能は不要で、パワー重視の両軸リールが最も使い勝手が良いです。
特に短いロッドとの相性を考えれば、上図のように小型で軽い両軸リールが相性が良いと言えます。
スピニングリールに比べてベイトリールでは糸よれも発生しないので、ラインの出る負荷を調整しバックラッシュにさえ気を付ければ、無用なトラブルも防げます。
穴釣りには、3号か4号のラインを50mも巻ければ十分なので、糸巻き量に見合った小型の両軸リールを用意できれば理想です。
【穴釣りリールのおすすめ製品】
参考
穴釣りのおすすめライン(道糸)
DUEL(デュエル) カーボナイロンライン 3号 500m イエロー
ラインの種類には、ナイロン、フロロカーボン、PE、ポリエステルなどがありますが、穴釣りで使用するラインの素材は、ナイロンラインかフロロカーボンとなります。
根ズレが多い穴釣りでは、ラインに張りを持つラインが向いているので、PEラインの使用はおすすめできません。
カサゴ中心の穴釣りなら、ラインの強度(太さ)は3号か4号が標準で、釣れる魚のサイズがワンサイズ異なる地域では、5号を使用するのも良いでしょう。
また、ラインカラーについては、透明である必要はないので、薄暗い時間帯や夜釣りも考慮するなら、カラーラインを使用するのがお勧めです。
上図で示したラインは、ナイロンとフロロの合成ラインで、それぞれの特徴を併せ持つので、穴釣りにはピッタリです。
500m巻きのラインは安価な値段設定のものが多いので、根ズレで傷んだ部分はどんどん切り落として、新しいラインを使っていきましょう。
アコウなど万一の大物が掛かった場合に、ラインの劣化で取り逃したなんてことで後悔しないようにしましょう。
【穴釣りラインのおすすめ製品】
自作の穴釣り仕掛けで使う小物の釣具
穴釣り仕掛けは、小物の釣具が少なくて楽です。
オモリ、サルカン、ハリス、釣り針があれば、自作仕掛けでも完成します。
ありふれた小道具なので、説明は不要かと思いますが、先の3種類の仕掛けで使用しているものを、簡単に補足しておきます。
穴釣りで使うオモリ
左から順に、タル付きオモリ、中通しのゴム管付きオモリ、中通しの丸オモリをセットしています。
いずれも重さが3号~5号が標準で、水深が深い釣り場や、潮の流入が激しいポイントほど重めのオモリを使用します。
タル付きはラインが固定仕掛けで扱いやすさ重視、中通しはラインが出ていくので食い重視の場合に使用します。
その他にも各オモリの種類でメリットとデメリットが異なるので、紹介しておきます。
- タル付きオモリは、サルカンが付いているので、仕掛けのセットが簡単で、固定仕掛けとなるので扱いやすさを重視します。
反面、結び目の下側が根ズレで切れやすく、中通しに比べて魚の食いは悪くなります。 - ゴム管付きオモリは、根掛かり防止に役に立つ仕掛けで、中通しのため食いも良くなります。
ラインの痛みが少ないというメリットもありますが、デメリットは通常の中通しオモリより値段が高いです。 - 丸オモリは通常では入っていかない、穴の奥まで転がり込んいくメリットがあり、中通しなので食いの良さも上々です。
その反面、ラインの痛みが大きく、奥まで入ってしまった仕掛けが根掛かりし、引っ張り出せないケースが増えます。
穴釣りで使うサルカン
サルカンについては説明不要かと思います。
穴釣りで掛かる負荷であれば、通常のタル付きサルカンで十分で、パワースイベルなどを使う必要はありません。
サルカンの大きさも特に重要ではなく、12号程度のサルカンでも強度は10kg以上あるので、手持ちのものがあればそれで十分です。
穴釣りで使うハリス
クレハ(KUREHA) ハリス シーガー グランドマックスFX 60m 1.5号
穴釣りのハリスはフロロカーボンの一択で、強度は1.5号~2号を使用するのが標準です。
カサゴ狙いや根掛かり軽減を考えれば、ハリスは5cm程度と短めの方が良いのですが、警戒心の高いメバルを狙うのであれば、ハリスは少しでも長めにとる方が釣果が上向きます。
上図のハリスは最強ハリスの一つですが、強度はもちろんハリとしなりのバランスが良く、どのような釣りでも対応できるのでお勧めです。
釣り針を自分で結べるのであれば、ハリスはスプール巻きで販売されているものを購入して使う方が、コスパは高くなります。
根掛かりで仕掛けをロストする機会が多い釣りなので、糸付き針を使うよりも、強度の高いラインを使って自分で結ぶ方が有利です。
穴釣りで使う釣り針
ささめ針(SASAME) RI-05 カン付丸セイゴブラック 11号
穴釣りの釣り針は、軸が太めでシッカリしたチヌ針か丸セイゴを使うのがおすすめです。
チヌ針だと2号、丸セイゴだと10号~12号が標準的です(エサにシラサエビなどの活きエビを使う場合はメバル針が良い場合もあります)。
上図ではチモトが環になっていて、初心者でも結びやすい管付き針を紹介しています。
通常のチモトに結ぶ針に比べて、コストがアップしますが、釣り針を結ぶのが面倒な方はコチラの方が楽です。
ただし、エサの青イソメなどの虫エサを通す時に、チモトより奥まで通すのは困難なので、用途に合わせた使い分けが必要です。
OWNER(オーナー) カサゴ・アコウ フック 11-2 釣り針
針を結ぶのも面倒という方には、糸付き針を使うという選択肢もあります。
上記の製品は、ネムリ針という針先を内側に曲げたロックフィッシュ向けの特殊な針で、根掛かり防止に効果を発揮します。
エサを丸呑みする根魚の特性に合わせた釣り針ですが、根に掛かりにくいということは、逆に魚にも掛かりにくいということで、諸刃の剣ともいえる針です。
なお、糸付き針を使う場合は、ハリスの性能は下がるので同じ太さでも強度は下がること、穴釣りで使うハリスは5cm~10cmと短いので、無駄に捨てる部分が多くなるというデメリットは避けられません。
穴釣り仕掛けの作り方
仕掛けのイラスト図だけで、仕掛けの作り方も想像はできると思いますが、一応仕掛け作りのステップも紹介しておきます。
仕掛けの作り方フロー
- ロッドにリールをセットする
- ロッドを伸ばす
- ガイドにラインを通す
- オモリとサルカンをセットする
- 釣り針にハリスを結ぶ
- サルカンの下側にハリスを結ぶ
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1ロッドにリールをセットする
ロッドのシールシートに、リールを取り付けます。
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2ロッドを伸ばす
通常の仕掛けを作る場合は、特に振出ロッドを使う場合には、ある程度仕掛けを組んでからロッドは後から伸ばします。
ただ、穴釣りロッドは短いので、ピースを組む、あるいは振出部分を伸ばしておきます。
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3ガイドにラインを通す
リールのスプールをフリーし、ガイドにラインを通していきます。
トップガイドまで通したラインの端糸は、折り返してリールの辺りまで引っ張っておきます。
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4オモリとサルカンをセットする
タル付きオモリの場合は、サルカンの環の部分にラインを結びます。
ゴム管付きオモリや丸オモリの場合は、オモリの穴の中へラインを通してから、サルカンを結びます。
ここでのラインの結び方は、サルカン結びの基本であるクリンチノットやユニノットなど、一般的な結び方でOKです。
いずれも結束強度はホドホドですが、初心者さんでも簡単で速く結べるといったメリットをもつ結び方です。
【クリンチノット】については、コチラの記事の中で紹介しています
【ユニノット】については、コチラをどうぞ(スプールの結び方として紹介していますが、スプールに巻く代わりに、サルカンの輪の中へ端糸を通せば結べます)
step
5釣り針にハリスを結ぶ
先の管付き針を使う場合は、サルカン結びと同じようにクリンチノットやユニノットで結び、ハリスは15cmほど残しカットします。
通常の釣り針の場合は、外掛け結びや内掛け結びで釣り針を結び、ハリスは15cmほど残しカットします。
【外掛けむすび】については、コチラの記事の中で紹介しています
【内掛け結び】は強度は高いのですが結びが少し手こずります。
針結び器と呼ばれる便利グッズを持っていれば、穴釣りの仕掛け作りに限らず幅広く使えます。
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6サルカンの下側にハリスを結ぶ
針を結び終えたハリスを、サルカンの下側に結ぶ。
以上で、自作の穴釣り仕掛け作りは完成です。
何度も繰り返しますが、穴釣りはカサゴを中心に手軽に釣果を得られる反面、根ズレや根掛かりが多く、他のどのような釣りよりも釣り針をロストする釣りです。
ゴム管付きオモリやネムリ針を使うこと、またハリスを短く取るなどの工夫で、根掛かりや仕掛けのロストを減らすことも可能です。
ただし、メリットの裏返しとして魚の食いが悪くなるなどのデメリットなどが付いてきます。
いろいろと自分なりに仕掛けを試してみて、効率よく釣果に繋げられるような仕掛けを検討してみましょう。
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