ここでは、海釣りの中でも最も親しみやすく多くの釣り客のいる堤防釣り(波止釣り)で使う初心者向けながら、非常にコスパの良いベイトリールについて紹介します。
これから海釣りを始める入門者さんや、まだまだ始めたばかりの初心者さんが、まず始めに行う作業は釣り道具選びです。
楽しくもあり悩ましくもあるタックル選びの中で、最も選択に時間が掛かるのが釣竿(ロッド)とリールということになります。
これは、仕掛けなどの小物の消耗品と違い、一度手にすると替えがきかず、また購入にかかるお金も大きくなることから、慎重に選びたいのは皆さん共通の認識となります。
ただ、釣り道具店を訪れたことがあれば分かることですが、店頭では検討対象となるリールの種類の多さだけでなく、値段の安いリールから高いリールまで、驚くほどの選択肢が待っています。
財布と相談しながらさんざん迷いつつ、店頭で最安製品を選ぶのも気が引けて、最終的にそこそこのお金を出してリールを購入することになる方も多くいることでしょう。
また、その購入したリールが、あなたの求めた性能を有する製品であればまだ良いのですが、残念ながら運任せというのが現実です。
なぜなら、店頭ではリールの持つ性能の詳細など確認できず、たくさんある種類のリールを比較する余裕などないし、忙しそうにする店員になかなか話を聞くこともできないでしょう。
大抵はリールの見た目と価格で決定することになり、安いリールであっても、高いリールであっても、『良し悪しは分からずにとりあえず買ってみたリール』になります。
釣り歴の長い管理人ですが、実は自身も一昔前まではこのような感じで、インターネットを使った買い物が広がるまでは、多くの釣り人(特に初心者さん)が同じような状況だったことでしょう。
ここでは、初心者向けにおすすめの安いベイトリールを紹介しますが、例え安くてもコスパの良いリールであることを知って購入すれば、同じリールを購入するにしても満足度は変わります。
これから手にするそのリールは、あなたの釣り人生のお供として、長く付き合っていくタックルになるかもしれません。
例え初心者であっても、ある程度は性能の違いを把握したうえで購入することをお勧めします。
メーカー製の安いベイトリール~初心者向けおすすめ製品はコスパ最強!
インターネット全盛の今の時代、リールの特長や性能の詳細については、少し調べれば十分な情報が入手できるようになりました。
わざわざ釣りの専門誌や製品カタログを入手しなくても、リール選びに必要な情報が手に入る昨今では、店頭で何となく商品を購入するといったケースも減りました。
今この記事に目を通している人の大半は、すでにベイトリールの購入を検討されている方だと思いますが、きっと事前に十分な調査をした上で、納得のリールを手にされることでしょう。
ここでは、ベテランアングラーが使用するような、専門性の高いハイスペックで価格の高いリールの紹介は一切ありません。
様々な釣りに使える汎用性の高い万能リールで、釣りの入門者や初心者向けのコストパフォーマンスを重視した、高くても10,000円もしないベイトリールをおすすめする内容になりますので、その点はご了承下さい。
安いベイトリールではコスパの高い海外製リールが国内メーカーの脅威!?
安いリールというキーワードをお伝えてしましたが、安いだけで使い物にならないリールでは話になりません。
スピニングリールの場合なら、100均やECサイトで売られている1,000円~2,000円程度の釣具セットや、釣り用品店のワゴンセールで出ている1,000円前後のノンブランドのリールがあり、値段を考えると十分に使えます。
ただ、一応使えるリールというレベルであって、リールのガタツキや巻き心地の悪さ、壊れやすさ、見た目の悪さなど総じて多くの不満点が付いてきます。
ところが、ベイトリールにはこのような性能そっちのけの格安製品がほとんどありません。
その代わりに、近年では海外製のノンブランドのOEM製品が日本国内でも多種多様に販売されており、2,000円台からと安くてもそれなりの性能を有した製品が多くあるのが特徴です。
実は管理人自身も4年ほど前に世界最大と言っても良いフィッシングショーであるICAST(International Convention of Allied Sportfishing Trade:スポーツフィッシングトレードショー)でアワードを受賞したこともある実績あるブランドのKastking製のベイトリールを4,500円ほどで購入してみました。
実釣では、タコエギのオクトパッシング、タチウオのワインド、ロックフィッシュの際釣りや穴釣り、タイラバやイシダイの船釣りなど、負荷の大きな釣りで多岐にわたって使用してきました。
さすがに4年も使っていると、少しガタつきが発生し始めましたが、タコ釣りでのダメージが大きすぎるので、今でも使用できている時点でその頑健性の高さが理解できます。
ただし、キャスティングに焦点を当てれば3/8onz(約10g)程度がバックラッシュなしに快適に使用できる最低ラインで、飛距離に関しては満足いくレベルは出ないのが正直なところです。
海外製の格安ベイトリールの多くは、どちらかと言えばリグやルアーの投げが伴う引きの釣りよりも、縦の釣りに強いというのが実情でしょう。
それでも、その安さゆえに、ダイワやシマノ、アブガルシアといった国内有名メーカーの製品を脅かしている状況が続いてきました。
国内製品と違い海外製リールの販売元の多くは中国で、ブランド名は多岐にわたり、OEM製品ということもあり売れ筋ブランドは変化していきますが、現在はピシファン(Piscifun)のTorrent(トレント)というリールが人気の中心です。
以下に海外製ベイトリールの代表的な一例として、Torrentの価格に見合わないその性能(ギア比違いで2種類)を紹介しておきます。
【標準ギア(5.3:1)タイプ】
・最大ドラグ力:8.1 kg
・リール自重 :227 g
・糸巻量 : 標準スプール巻糸量 ナイロン0.234mm/250m、PEライン0.286mm/135m
・ベアリング :ボールベアリング5+1BB
・ブレーキシステム:0-10段階マグネットブレーキ
【ハイギア(7.1:1)タイプ】
・最大ドラグ力:8.1 kg
・リール自重 :228 g
・糸巻量 :標準スプール巻糸量 ナイロン0.234mm/160m PEライン0.286mm/110m
・ベアリング :ボールベアリング5+1BB
・ブレーキシステム:0-10段階マグネットブレーキ
Torrentはバス釣り想定ですが、もちろんソルトウォーターにも対応しています。
以前はシャロ―スプール(重量:14.3g)ナイロン:0.202mm/180m、PEライン:0.234mm/130mも個別販売やセット販売されていました。
CNCマシンカットピニオンギアは鍛造ギアより数倍以上の歯面精度を実現し、シルキーな巻き心地を提供する。ドライブギアに特殊ラッピング加工を施し、ピニオンギアとドライブギアの最適バランスを取ることで耐久性が向上に寄与しているとの売込みです。
海外製リールの特徴の一つは、そのドラグ力の高さで、シーバスフィッシングやロックフィッシュゲーム、エギングはもちろん、ライトジギングやタイラバなど、ショア・オフショア問わずに使用できる仕様になっています。
2017年発売から世界累計販売数は50,000台を突破しているとのことですが、こんなベイトリールが4,000円前後で販売されていたら、コスパの高さで国内リールが押されてしまうのも頷けます。
2023年12月現在、残念ながらピシファンのリールは日本国内での販売を終了しています。
最近では、Torrentのようなコスパの高い海外製リールは減り、当たり外れはあるものの安くて高スペックを謡う2000円程度で購入できるベイトリールがある程度売れているようです。
国内ブランドメーカーのダイワがコスパ最強の格安リール市場に参戦
一方メーカー製リールのダイワやシマノ、アブガルシアのベイトリールはというと、ソルトウォーター対応(海釣りでも使用可能)でシマノのバスライズが実売5,000円台(定価6,700円~)と最安で、ダイワのバスXが6,000円台(定価9,000円)、アブガルシアのブラックマックスが6,000前後(定価7,750円)となっています。
メーカー製リールでもエントリーモデルなら3,000円台から販売されているスピニングリールに比べると、最低ラインが5,000円台というのは初心者には少し敷居の高さを感じる価格設定でした。
取り合えずお試しで使えればOKという釣り人さんも多くいるので、インターネット販売が全盛の現在、海外製リールに顧客を奪われても仕方ないと言える状況でしょう。
ところが2021年4月にこの流れにストップをかけるかの如く、とうとうダイワが実売価格4,000円前後(定価5,600円)のPR100/100Lというベイトリールの販売に踏み切りました。
国内メーカーのベイトリールには暗黙とも言える5,000円の壁があったのですが、これを大きく割る4,000円前後での販売には度肝を抜かれた方も多かったでしょう。
案の上、PR100は販売開始より爆売れを記録し、本記事作成時点でAmazonでも早々にベストセラー1位を記録している状況です(2023年12月現在、物価の上昇で少し価格は上がりましたが引き続き1位を維持しています。)。
なお、現時点の売れ筋のベイトリールについて、以下にリンクを張っておきます。
ダイワ製ベイトリールPR100/100Lの性能
以下にPR100/100Lの性能について紹介しておきます。
・ギア比 :6.3:1
・最大ドラグ力:5.0 kg
・リール自重 :190 g
・糸巻量 : ナイロン12lb(3号)120m、PEライン1.5号230m
・ベアリング :ボール3bb+ローラー1RB
・ブレーキシステム:20段階マグネットブレーキ
ギア比は6.3対1とノーマルギアで、ハンドル1巻きにつき65センチのラインを回収できます。
こちらもシーバスフィッシングやロックフィッシュゲーム、エギングはもちろん、ドラグ力も5kgあるのでライトジギングやタイラバなど、オカッパリや船釣り問わずに使用できる仕様と言えそうです。
アルミスプールとベアリングの搭載で回転性能は高く、MAGFORCE搭載で20段階の細かいブレーキ性能を設定でき、それでいて自重は190グラムの軽さは非常に優秀な仕上がりです。
これは1日中操作していてもほとんど疲れず、誰でも使い易いオールラウンダーモデルで、今後の入門~初心者ベイトリールの決定版となっています。
生産は中国となっていますが、大手メーカーによる品質管理の恩恵が受けられるので、初期不良や耐久性の点に対する心配は大幅に削減されます。
価格に対する性能上の高さから、ダイワが本格的に格安でコスパ最強を目指すベイトリール市場に参入してきたといっても過言ではない仕上がりになっています。
右巻き、左巻きはもちろん、この価格帯のリールにありがちなライン付きも販売ラインナップに加わっています。
シマノやアブガルシアのベイトリールの今後の展開に期待
ダイワが格安ベイトリールの市場に参入してきたとなると、やはり気になるのはシマノやアブガルシアの今後の動向といったところでしょうか。
いずれのブランドメーカーも、それぞれ入門者向けのベイトリールを売れ筋商品を持っています。
前述のようにシマノはバスライズ、アブガルシアはブラックマックスという製品がそれにあたります。
以下にバスライズとブラックマックスの性能についても紹介しておきます。
【シマノ(SHIMANO) ベイトリール 18 バスライズ】
・ギア比 :7.2:1
・最大ドラグ力:5.0 kg
・リール自重 :200 g
・糸巻量 : ナイロン12lb(3号)130m
・ベアリング :ボール1bb+ローラー1RB
・ブレーキシステム:10段階マグネットブレーキ
ギア比は7.2対1とハイギア寄りで、最大巻上長(cm/ハンドル1回転)で77センチのライン巻取り能力です。
ブレーキシステムのイージーマグは非接触型ブレーキらしく、メカニカルブレーキと合わせ特有の無重力感を味わう事ができ、安いリールながらキャスティング性能は好評です。
実質10g以上のルアー(慣れれば8g以上)ならどんなキャストでもこなせるのではないでしょうか。
ベアリングはボールが1bbと寂しく感じますが、手にした感触や使い勝手はダイワのPR100と同等以上と感じることができます。
こちらもソルトOKとのことですが、ダイワやアブガルシアの最安リールに比べると、よりバスに特化したリールという点は否めないかもしれません。
ダイワのPR100が販売されるまでは、一流メーカー製ベイトリールの入門機としての決定版と言えましたが、価格的なものもあり今後は少し苦戦していくのではないでしょうか。
【アブガルシア(Abu Garcia) ブラックマックス 4 (BLACKMAX 4)】
・ギア比 :6.4:1
・最大ドラグ力:5.0 kg
・リール自重 :200 g
・糸巻量 : ナイロン14lb(3.5号)115m
・ベアリング :ボール4bb+ローラー1RB
・ブレーキシステム:20段階マグネットブレーキ
ブラックマックス4については、2021年5月に新モデルが発売されたばかりです。
マグトラックスブレーキシステムにφ32mm アルミマシンカットスプール、パワーディスクドラグにデュラギヤブラスギヤ、グラファイトフレームの採用に4+1ベアリングと、入門機にしては申し分のない仕様です。
前機種からは更なるパーミングの向上を目指し、近年のベイトリールでよく見られるスプールの小径化によるコンパクトなモデルチェンジを行いましたが、性能には大きな変化はありません。
もともとキャスティング面では軽めのルアーでも飛距離に定評のある大人気のベイトリールなので、新機種の登場で価格的にも爆発的な人気を得てもおかしくないはずでした。
しかしながら定価を大幅に下げて勝負に出たものの、残念ながら現時点では販売価格は前機種とそれほど大きな変化がなく、これにより安いダイワのPR100に差をつけられた状態となっています。
基本性能としては、ダイワの新製品PR100とそれほど大きな差はなく、高級感という意味でもワンランク上の製品なので、今後の販売価格の推移が気になるところです。
5,000円台前半まで落ちることがあれば、本来のコスパの高さが再認識されると思うので、イチオシのおすすめの製品として紹介したいベイトリールです。
シマノのバスライズにしろ、アブガルシアのブラックマックスにしろ、いずれも価格を考えればコスパ最強ともいえる素晴らしいベイトリールだと思います。
しかしながら、価格面で一線を越えてきたダイワに対し、一歩先んじられたのは否めず、このまま指をくわえてその販売数を見守るというわけにはいかないでしょう。
海外製リールもこれ以上は安くならないという価格帯まで突入しているので、シマノとアブガルシアにも顧客を取り戻すための更なるコスト削減努力を期待したいところです。
コスパが良い条件として、安くても押さえておきたいリールの性能
リール選びをする際、自分の釣りに見合った性能を持つ製品を選ぶというのが正当ですが、これは厳密に言えば、ある一定レベルを超えるような高いリール選びの際に考えることです。
高いリールと違って、安いリールの中から製品を選ぶ場合は、買おうかどうか考えたリールが、自分の釣りに使えるかどうかで決断するということになります。
記事の流れとして、紹介する内容が逆転することになりましたが、ここで根本に立ち戻って、そもそものリールの役割について考えてみます。
- 仕掛けを飛ばすための糸を巻く
- 糸の出し入れで仕掛けを操作
- 魚とやり取りして引き寄せる
この3つの役割をこなすために、リールには様々な種類の製品が存在し、各々に異なる特徴と性能が備わっています。
初心者がリールを選ぶ場合においても、性能面でいくつか押さえておきたい条件があるので、その点について紹介しておきましょう。
なお、本内容はスピニングリールでもベイトリールでも共通して言えることばかりですが、ベイトリールの場合にはキャスティング時にバックラッシュというトラブルが付いてきます。
そのため、ブレーキングシステムだけは、ベイトリールのみに対する重要な性能として誤認識ください。
リールの糸巻き量(巻き糸量)
まず、上記リールの役割で最初に書いた『仕掛けを飛ばすための糸を巻く』という点について必要な性能に、糸巻き量があります。
これはリールのスプールに巻くことができる釣り糸(ライン)の長さのことになります。
糸巻量については仕様表はもちろん、リールのスプールにも記載されています。
ラインの太さが太いナイロンラインを巻いた場合の糸巻量と、細いPEラインを巻いた場合の糸巻量は違うということを意識しておきましょう。
番手の大きなリールほど、付属のスプールも大きくなるので、糸巻量も大きくなりますが、一般的なバス釣りや波止釣りでは、3号(12lb)から4号(16lb)で100m~150mの糸巻量が確保できれば、釣り方を問わずどのようなケースでも幅広く使えます。
ベアリングによる巻き心地の良さ
リールは回転性能が使いやすさに直結しますが、その大きな要因となるのがベアリングと呼ばれるパーツの性能と使用される数です。
ボール/ローラーベアリングは非常に高価なパーツであるため、その数が多ければ多いほど高額なリールになります。
巻き心地が滑らかで軽いリールは、魚や障害物に触れた感触が手に伝わり、繊細な釣りの場合は釣果にも直結する要素となります。
近年は安価なリールにもベアリングが組み込まれており、これは海外製のベイトリールでも変わらず、むしろ海外製品ではベアリングに使用されるボール数の優位性をうたっている節があります。
ただ、ベアリングそのものにも性能差がある(一時期ハンドスピナーがはやりましたが、ベアリングの性能差で回転する時間の差は歴然でした)ため、一概にボール数だけで判断はできないと思っておきましょう。
国内メーカー製リールのベアリング(例えばシマノはSA-RBやダイワのマグシールドボールベアリング)は性能自体が高いので、例えボール数が数個と少なくても、海外製の10個近いものに負けないと考えてよいでしょう。
ドラグ性能が備わっている
リールのハンドルを回せば、スプールにラインを巻き取ることができ、魚を寄せて取り込めます。
ところが、ある一定の負荷が掛かると、ハンドルの動きに関係なく、リールスプールが逆回転し、自動的にラインが送り出されます。
これによって、タックル全体に大きな負荷が掛かっても、ラインが切れたり竿が折れたりすることなく、魚とのやり取りを続けることが可能になります。
この性能をドラグと言いますが、ノンブランドのリールと違い、メーカー製のリールはこのドラグの機能もしっかりと働きます。
設定する負荷の大きさをドラグ力(kg)と呼びますが、スピニングリールの場合は通常の堤防釣りであれば2kg、大物対応でも4kgあれば大抵は事足ります。
ベイトリールはよりパワー向き仕様で、基本が5kg以上の設定となっているため、あまり負荷の大きさには捉われなくて良いでしょう。
リールの自重(g)
読んで字の通りリールの重さですが、リールの自重も軽ければ軽いほど扱い易く、疲れも軽減できるメリットがあります。
マグネシウムやチタンなど、軽量のパーツが使用されている製品ほどリールの自重は軽くなりますが、それだけ高価になります。
素材の高さが製品価格に反映されるので、高いリールと安いリールの違いが出やすい部分ですが、コスパの良さを求める際には、犠牲にしなければならない性能だと言えます。
ただ、この点についてもメーカー製のベイトリールであれば、標準的な自重が200g程度とそれほど負担のない重さに仕上がっています。
初心者向けとしては頑丈なリール
釣りに慣れない初心者さんにとって、リールが頑丈であるというのは重要な要素です。
まだリールの扱いも荒く、メンテナンスも分からない状況でも、よほどひどい扱いをしない限り、メーカー製のリールなら問題なく使い続けられます。
防水や防錆性能は高いリールには及びませんが、安いリールでも最低限の頑健性は備わっています。
ノンブランドの安いリールをおすすめしないリールの最大の要因はこの点で、扱い次第ではすぐに錆びたり、リールにガタがきたり、最悪壊れます。
安物買いの銭失いにならないためにも、初心者ほどダイワやシマノ、アブガルシアのリールを使うことをおすすめします。
ブレーキシステムの性能がキャスティング性能を向上させる
最後に先ほど紹介したベイトリール特有の性能としてブレーキシステムがあります。
放射状にラインが出るスピニングと違って、ベイトリールは直線状にラインが出るためガイドとの緩衝も小さく、うまくキャストすればラインに撚れを発生させずにスピニングリールに劣らない飛距離が出せます。
もちろん使用するロッド(ガイドの大きさや数)やキャストするルアーの負荷にも関わるので、一概にどちらが優れているというのは言えません。
ただし、ベールアームを外すだけでスプールが回転しないベイトリールに比べ、スプールフリーでもラインの出に合わせてスプールが回転するベイトリールはキャスティングテクニックが要求されます。
ブレーキやサミングなしで力任せにキャストすると、バックラッシュというトラブルに見舞われます。
このキャスティング性能を遺憾なく発揮させるために求められるのがブレーキシステムで、キャスティングリールには必須の設定となっています。
詳しく紹介すると記事が1本必要になるので、ここでは一言で言い表しますが、キャスト用のベイトリールを必要とするならメカニカルブレーキやマグネットブレーキの性能を謡っているものを選択する必要があります。
船釣りや波止際の釣りなど、縦の釣りに限定したリールであれば、特にこだわる必要はありません。
その他の初心者におすすめのベイトキャスティングリール
バス釣りや波止釣りデビューの入門者さんや、まだまだ初心者の方には,、本当はベイトキャスティングリールでなくスピニングリールがおすすめなのですが、理由はたくさんあります。
初心者が自然と手にするリールがスピニングリールというのもありますが、ベイトリールに比べたスピニングリールのメリットについても、一応箇条書きで簡単に紹介しておきましょう。
- 初心者でも簡単に扱える
- 仕掛けを飛げやすい(キャスティングしやすい)
- 使うロッドの選択肢が多い
- どのような釣り方にも使える
- スピニングリールの方が安い
他にもメリットはありますが、釣り方が定まっていないことが多い初心者さんにとって、やはりどのような釣りにも汎用的に使えて、しかも値段が安いというのはスピニングリールの大きな利点です。
このような点から、当サイトでは初心者向けのコスパの高いスピニングリールについても詳しく紹介し、幸いにもかなりの好評を得てきました。
しかしながら、先に紹介したように、ベイトリールの方が値段が高いというデメリットは少し縮まりました。
これにより『いやいやスピニングリールの使いやすさは理解できるけど、それでもロッドとのバランスや格好良さに拘りたい』というアングラーさんは、これまで以上に増えるかもしれません。
そんなユーザーさん向けに、これまでに紹介した国内三大メーカーの3機種に加え、その他の1万円以下のエントリーモデルも合わせて紹介しておきたいと思います。
いずれを手にしてもコスパの良さは断言できますが、その中でコスパ最強と言われる製品がいずれになるかは、使用するユーザーによって意見が異なる製品ばかりです。
4000円台で買えるダイワのおすすめベイトリール
ノンブランドではなく、一流メーカーでも4,000円台で買えるベイトリールが発売されたことは喜ぶべきことです。
4,000円台でも侮ることなかれ、確実にお値段以上の製品クオリティに仕上がっており、新たなコスパ最強候補のベイトリールだと言えます。
ダイワ(DAIWA) PR100/100L
ダイワの『PR100』については、先に詳しく紹介したので詳細は割愛しますが、人気を博すのも頷ける性能と価格に仕上がったリールです。
タイプは2種類で100Lは左巻き用を指しますが、右巻きのPR100には3.5号のナイロンラインがあらかじめ巻かれたタイプも販売されています。
ベストセラー製品になっているので、あまり売れすぎて製品が品薄になると販売価格が上がることもあるので、ネット購入の場合は気を付けてください。
実売価格は4,500円前後といったところが適正価格で、現在PR100は国内一流メーカーのベイトリールの中では最安値のリールになります。
5000円台で買えるシマノとアブガルシアのおすすめベイトリール
5,000円台で変えるベイトリールとしては、これまた先に紹介したシマノのバスライズと、アブガルシアのブラックマックスとなります。
いずれもコスパの高い製品として現時点では、非常に人気とコスパの良いベイトリールとなっています。
シマノ(SHIMANO) 18 バスライズ
シマノのベイトリールで最も安価なリールが『18 バスライズ』ですが、こちらも性能については紹介済なので、簡単な紹介にとどめます。
もともとシマノの基本テクノロジーを備えたエントリークラスベイトで根強い人気を誇ったバスライズでしたが、2018年にラインキャパを200番から150番に浅溝化したスプールを採用することで、キャスト性能をアップさせてあります。
ラインを巻いた際に感じる重量は軽快で、太糸に対応しながら慣性を抑えたことで誇るキャスト性能は、この価格のリールとしては秀逸です。
ブレーキシステムも簡単に操作できるイージーマグが採用されているので、初心者でも扱いやすいでしょう。
アブガルシア(Abu Garcia) ブラックマックス 4 (BLACKMAX 4)
アブガルシアのベイトリールで最も安価なリールが『ブラックマックス4』ですが、こちらも性能については紹介済なので、簡単な紹介にとどめます。
2016年に前作がスプール径をφ33に変更して新登場したブラックマックス3は、バス用ベイトキャスティングリールの決定版として発売当初より人気を博してきました。
ただ、前項のワンランク価格帯の安い18バスライズの登場で、低価格リールのユーザー層を奪われる感じになりました。
そこで2021年最新版のブラックマックス4で、スプール径をφ32に変更し更なるコンパクト・軽量化と投げやすさにこだわった製品を、バスライズと同価格帯で登場させました。
満を持しての登場のはずだったのですが、同時期にまさかの低価格帯でダイワのPR100が発売開始されました。
ブラックマックスはコスパ最強にふさわしいリールなだけに、従来のアブファン以外のユーザーを取り込めるかどうか、今後の売れ筋は気になるところです。
6000円~8000以下で買えるシマノとダイワ、アブガルシアのおすすめベイトリール
スピニングリールだとコスパ最強とも言えるリールは購買層の多い6000円~8000円程度の価格帯に存在しますが、ベイトリールの場合は必ずしもそうとは言えないかもしれません。
そもそも最安価格帯の高いベイトリールでは、この価格帯のリールはハイギア寄りという特徴があるものの、性能そのものは最安クラスとそれほど変わりありません。
あくまでコスパという視点から見れば中途半端な製品レベルですが、ハイギアよりのリールの性能としては重宝され、いずれも人気のあるリールばかりとなっています。
シマノ(SHIMANO) ベイトリール 17 バスワン XT
シマノ製ベイトキャスティングリールの『17 バスワン XT』は、実売価格7000円前後で購入できるリールです。
後述のダイワのバスXと比較されることが多いハイギアよりのベイトリールで、船釣りにも向いたリールとして親しまれています。
【シマノ(SHIMANO) ベイトリール 17 バスワン XT】
・ギア比 :7.2:1
・最大ドラグ力:5.0 kg
・リール自重 :210 g
・糸巻量 : ナイロン12lb(3号)130m
・ベアリング :S A-RB2/ボール2/ローラー1
・ブレーキシステム:SVSブレーキ+メカニカルブレーキ
・定価 :9,500円
ギア比は7.2とハンドル1回転で最大巻上長77cnを持つハイギアリールで、エントリーモデルながらコンパクトな高級感を感じられるベイトリールです。
特殊防錆処理をベアリング自体に施し、錆びに対する耐久性が大幅にアップさせ、更にS AR-Bはさらに側面を防錆素材でシーリングし、ベアリング内部での塩分再結晶会による塩ガミを大幅に減少させています。
SVS (シマノバリアブルブレーキシステム)は調整が少し面倒ながらも、敏速な立ち上がりとフルキャスト時ののびやかな弾道は遠心力ブレーキの完成型と言え、キャスト性能に定評のあるベイトルールです。
唯一残念なのは、近年のリールの軽量化を考慮すれば、自重210gはマイナス点と言えるでしょうか。
ダイワ(DAIWA) ベイトリール 19 バス X(BASS X)
ダイワ製ベイトキャスティングリールの『19 バス X(BASS X)』は、実売価格6000円台で購入できるリールです。
前述のシマノのバスワンXTと比較されることが多いハイギアよりのベイトリールで、船釣りにも向いたリールとして親しまれています。
【ダイワ(DAIWA) ベイトリール 19 バス X(BASS X)】
・ギア比 :7.5:1
・最大ドラグ力:5.0 kg
・リール自重 :195 g
・糸巻量 : ナイロン12lb(3号)100m
・ベアリング :ボール4bb+ローラー1RB
・ブレーキシステム:ダイヤル式ブレーキ
・定価 :9,000円
キャスト性能はバスワンとほぼ同じで、ミドルクラス〜フラッグシップ機にも迫る遠投性能を誇ります。
ギア比は7.5とハンドル1回転で75cmの巻取り長となりますが、90mmのロングハンドルの採用もウリの1つとなっています。
巻き抵抗の強いルアーでも、トルクフルにゴリゴリ巻き切れる力強さがあり、船釣りでも使用しやすい仕様のリールとなっています。
ブレーキは少し強めの初心者向き仕様となっており、ブレーキ調整はつまみを回すだけでOKなので使いやすいです。
糸巻き量はバスワンより少ないですが、そのぶんリールの重さ195gとバスワンより15g軽くなっています。
バスワンより2年遅れて販売された分、リードする点も多いですが、バスワン対バスXはシマノ派かダイワ派かで選択される方も多いベイトリールです。
アブガルシア(Abu Gacia) プロマックス (PROMAX)
アブガルシア製ベイトキャスティングリールの『プロマックス (PROMAX)』は、実売価格7000円台で購入できるリールです。
前述のシマノのバスワンやダイワのバスXと比較されることが多いハイギアよりのベイトリールで、こちらも船釣りにも向いたリールと言えるでしょう。
【アブガルシア(Abu Gacia) プロマックス (PROMAX)】
・ギア比 :7.1:1
・最大ドラグ力:5.0 kg
・リール自重 :203 g
・糸巻量 : ナイロン14lb(3.5号)115m
・ベアリング :ボール5bb+ローラー1RB
・ブレーキシステム:20段階Magtraxブレーキ
・定価 :9,600円
プロマックスはブラックマックス4のハイギアリールとして、2021年5月に発売が開始されました。
スプール径を32mmとすることで従来よりコンパクト設計になり、ボディの見直しによって投げやすさが大幅にアップ、そしてデザインも洗練されての新登場です。
高さ約40mm(リールフットからボディ上部まで)というロープロファイル化は、女性や子どもアングラーへの対応とも言ってよいでしょう。
マグネット方式のMagtraxブレーキシステムは、7g程度の軽いルアーもバックラッシュを心配せずにキャスト可能です。
また、高耐久デュラブラスギヤ、アルミマシンカットスプールという剛性の高いパーツは、不意のビッグフィッシュに対しても安心のファイトが可能との売込みです。
アブファンにすれば、ブラックマックス4といずれを選択するかは、非常に迷わしいところでしょう。
以上、コスパの良いベイトキャスティングリールとして、コスパ最強決定戦とも言える10000円以下で買える安価なエントリーモデルの紹介をしてきました。
記事中でも紹介しましたが、近年は海外製の安価なベイトリールを使用するユーザーが増えています。
しかしながら、国内一流メーカー製のリールには絶対的な信頼性と安心感があり、このクラスのリールは機種を問わず全てコスト以上に高性能です。
ご自身の釣りにかける取り組み頻度や、予算に合わせたリールを選べば、いずれのリールを選択してもきっと満足のいく買い物になると思います。
ダイワのPR100の発売をきっかけとして、今一度原点に立ち戻り、メーカー製リールの良さを見直してみるのも良いのではないでしょうか。
なお、最近では店頭で購入する方がAmazonなどECサイトで購入するよりも高くつくことが多いので、店頭に赴く際には必ず価格もメモして出掛けましょう!
コスパ最強の安いスピニングリールについても詳しく紹介しています。