エサ釣りよりもルアーフィッシング人気が際立つ近年の堤防釣りで、その人気を牽引する対象魚の1つにハマチがいます。
青魚の一種であるハマチは、成長に合わせてツバスやメジロ、ブリといった呼び名(関西)が変わる出世魚ですが、釣れる時期によって様々な釣り方が楽しめる魅力のあるターゲットです。
温暖化の影響ゆえか、ハマチは昔に比べて都市近郊の身近な防波堤でも手軽に狙えるようになり、海釣りの入門者や初心者がいきなりショアジギングからスタートするといったケースも増えました。
岸から狙える魚種の中では大物に部類するハマチですが、強烈な引き味を楽しめるのも大きな魅力の一つです。
そんなハマチ釣りの魅力は概ね以下のような感じでしょうか。
ハマチ釣りの魅力
- 強い引きで豪快な釣りが楽しめる
- 波止釣りで最大級の大物が狙える
- 都市近郊の防波堤でも狙える
- 釣れる時間帯の制約が少ない
- 初心者でも釣れる
- 大物1匹仕留めれば価値(勝ち)
- サイズや時期で、食材としての魅力もある
ハマチ釣りは上記のようにメリットが多いですが、呑ませ釣りやジギングでは強固なタックルが必要になり、波止釣りの汎用タックルで釣るのは難しいというデメリットもあります。
シーズン中のハマチであれば釣果を上げるのは決して難しい魚ではありませんが、釣れる時期や時間、釣り場やポイントを理解していれば、ボウズになる確率やリスクも下がるため、最低限の知識は身につけておきたいものです。
ここでは、ハマチの特徴と習性について簡単に紹介した後、ハマチ釣りに適した時期(シーズン)、時間帯、そしてハマチが釣れる場所やポイントについて纏めます。
【ハマチ(メジロ、ブリ)】特徴と習性 ~釣れる時期・釣れる時間・釣れる場所~
ここでは、ハマチを釣るために押さえておきたい基本知識として、以下の4点について紹介します。
ハマチ釣りに関する基本知識
- ハマチの特徴と習性
- ハマチの釣り場とポイント
- ハマチが釣れる時期(シーズン)
- ハマチが良く釣れる時間帯
まず始めに、ハマチという魚の特徴と習性について紹介します。
その後、ハマチの習性を踏まえた上で、ハマチを釣るために関係が深い、ハマチが釣れる場所、釣れる時期、そして釣れる時間帯について確認してみましょう。
どのような魚でも釣れる釣り場・時期・時間は、それぞれ密接に関わり合い、例えば、時期が異なれば釣れる場所や時間帯も変わってきます。
ハマチの場合、この傾向はそれほど強くありませんが、本記事をご覧になる方の釣行時の参考になるように、出来るだけ具体的なケースに分けて紹介しようと思います。
なお、これに合わせて、具体的なハマチの釣り方の種類についても紹介したいところですが、記事が長くなりすぎるので、これらについては別途、釣り方についてまとめた記事を作成したいと思います。
ハマチの特徴(ツバス、メジロ、ブリ)
まず始めにハマチの成魚であるブリは、スズキ目アジ科に属する海水魚で、日本では刺身やお寿司のネタなどの生食はもちろん、焼き物や煮つけとしても非常に美味しいお馴染みの魚です。
先にハマチは出世魚と紹介しましたが、堤防釣りで釣れるサイズは全長1メートル・体重8キログラム程度までのブリとなります。
ブリは地域によって呼び名が変わる魚で、一例として関西と関東での呼び名を紹介しておきましょう。
属性 |
地域 |
呼び名 | |||
40cm未満 | 60cm未満 | 80cm未満 | 80cm以上 | ||
青魚 | 関西 | ツバス | ハマチ | メジロ | ブリ |
関東 | ワカシ | イナダ | ワラサ | ブリ |
例えば、同じ近畿でも大阪と和歌山で、若干サイズの違いで呼び名が変わったりもしますが、概ね上記のような条件が一般的となっています。
本記事内では全体的に、堤防釣りはもちろん沖の船釣りでも最も釣果が出やすい【ハマチ】の呼び名を使った紹介とさせていただきます。
ハマチの見た目ですが、体つきは細長い紡錘形で目は比較的小さく、体色は背は暗青色、腹は銀白色をしており、口の先から目を通って尾鰭(おびれ)の付け根近くまで、幅広い黄色の帯が確認できます。
側偏しない体の体表は細かい鱗で覆われており、通常は表面のヌメリや鱗を取って捌きますが、よく切れる包丁ならそのままおろすことも可能です。
ハマチは温帯性の魚で、黒潮と対馬暖海域の沿岸水帯に分布し、日本の沿岸各地に生息しています。
季節によって棲息域を変える回遊魚であり、春~夏には沿岸域に寄って北上し、初冬から春には沖合を南下する特性があります。
食用としてのハマチは脂の乗った養殖ものが多いのですが、天然のハマチは脂の乗りが少なく、特に夏場はほとんど脂が無くパサつくので、正直に言えばあまり美味しいとは言えません。
釣りの対象魚としての価値は高いですが、食用としての価値は、釣れる時期(冬に脂がのる)やサイズ(ブリなら高級魚)によって変わる魚だと言えます。
ハマチの習性(ツバス、メジロ、ブリ)
前述のとおりハマチは日本の沿岸各地に生息していますが、普段は群れをなして、やや沖合の水深100m程度の中層から低層を遊泳しています。
船やボートのデッキ上からメタルジグをフォールさせて誘いをかけるオフショアジギングではこれらをターゲットとしますが、水深の浅い堤防釣りで接岸するターゲットは海底〜表層までの広範囲を遊泳しています。
特にツバスからハマチの頃までは表層~中層を生活圏とする傾向が強く、メジロやブリ級に成長すると中層〜底層が主な生活圏になってきます。
ブリは生後約3年で成熟して産卵を始めますが、東シナ海の水深200mの大陸棚周縁部が主な産卵場になっており、東シナ海では2月~3月、九州近海では4月~5月が産卵のピークと言われています。
なお、ブリは非常に成長速度の速い魚で、1年で20cm~30cm、2年で30cm~50cm、3年で50cm~70cmまで成長するので、産卵を行う個体はハマチクラス以上ということになります。
基本的には夏の高温期に北上して湾内に入って捕食を行い、秋以降は南下して産卵場へ戻るという南北の回遊を繰り返します。
ハマチの食性は典型的なフィッシュイーター(魚食魚)でありで、稚魚期は小型の甲殻類をエサとして食べますが、若魚になるとシラスやアミなどをはじめ、イワシやアジ、サバなどの小魚、イカやタコなどの軟体動物も食べるようになります。
なお、夜間も捕食活動を行うため、あまり知られていないかもしれませんが、夜釣り(ナイトフィッシング)で釣果が出ることもあります。
ただし、ハマチは基本昼行性の青魚で、夜間は波止に接岸する魚影も少なく、また夜はほとんど目が見えないと言われているので、基本的には陽が出ている時間帯に狙う魚と認識しておいた方が良いでしょう。
それではハマチの習性のうち、釣りに関与が深い釣り場や時期、時間帯について、より詳細に確認していきましょう。
ハマチが釣れる釣り場とポイント
ハマチは定着性のある魚ではなく回遊する魚なので、時期によって釣れる釣り場は変化します(温暖な南方海域では回遊せず、瀬付きになるものもいます。)
ただし、釣れる場所が変わるというよりも、シーズンに入って水温の上昇に伴い、湾奥などの釣り場などより広範の釣り場で釣れるようになるということです。
もう少し詳しく言えば、水深のある沖磯や沖提(一文字)では低水温期も含めて、周年に近い期間釣果がでることがある反面、水温が下がりやすく潮が動きにくい湾奥の釣り場では、釣れる時期が高水温期に限られるということです。
海釣りの対象魚の多くは産卵を浅瀬で行い、産卵期に合わせて身近な磯場や波止に接岸してくるケースが多いのですが、ハマチはこれに該当しません。
ハマチは水温の上昇とともに北上しますが、ちょうど同じ時期に沖の深場からアジやサバ、イワシなどの小魚も湾内へ入ってきます。
その結果、ハマチはこれらのベイトを追って身近な堤防へ接岸し、時期によって活性が最高潮であればベイトを追って更に港湾内にまで入ってきます。
それゆえ、ハマチが良く釣れる釣り場の条件として、アジやサバ、イワシなどのベイトとなる小魚の魚影が濃く良く釣れる場所という点は外せません。
また、ハマチは赤身の筋肉を持ち遊泳力が非常に高く、基本的に潮通しの良い釣り場にしか接岸しません。
具体的な釣り場としては、沖堤防はもちろん、海釣り公園の多くは潮通しが良い場所にあり、これも絶好の釣り場だと言えます。
また、オカッパリの通常の護岸釣り場でも、外海向きの釣り場や、更に潮がぶつかり合って潮目ができるような釣り場なら、一級の釣り場だと言えるでしょう。
高さのある波止や沖向きにテトラポッド(消波ブロック)が入っている釣り場は、時期によって海が荒れたり、潮が高くなりがちの場所ですが、こういった釣り場ほどチャンスは大きいかもしれません。
海釣り対象魚の多くは、生息環境に合わせ、岩礁帯でないとダメとか、砂泥底でないと釣れないといったケースがありますが、ハマチはこれにも該当しません。
都市近郊の水質の悪い湾奥の釣り場ではシーズン中も魚影は薄いでしょうが、それ以外であれば、ハマチは比較的どのような釣り場でも釣れる魚と思っておいても良いでしょう。
次に同じ釣り場の中でも、ハマチが釣れるポイントを把握しておきましょう。
まず第一に、一文字は例外として、陸の防波堤では沖向きに釣り座を構えることを優先しましょう。
波止回りでは潮通しの良い外向きで、その中でも特に潮がヨレやすい先端やコーナーは、鉄板ポイントとなります。
これは海釣り公園などでも同じですが、沖に突き出た桟橋の場合も中ほどの漁礁が沈められたポイントよりも、潮が速くて複雑な先端付近の方が釣果が出る傾向があります。
釣り場が港湾や漁港の場合は、船頭となるミオ筋は小魚(ベイト)の通り道にもなり、ハマチにとっても一級ポイントとなります。
沖の一文字や人工島では内向きでも良いポイントを持つ釣り場はあると思いますが、ハマチはタチウオやカマスほど餌を深追いしないので、よほど活性が高くない限り、漁港奥まで入ることはないと考えておきましょう。
なお、ここでは堤防釣りを中心とした紹介となっていますが、ベイトが豊富であれば、サーフ(砂浜)からの釣りでも普通に釣果は出ます。
釣り場の水深はあるにこしたことはありませんが、ベイトを追って浅瀬にも入るので、水深はそれほど大きな要因にはならないと思います。
防波堤であれサーフであれ、シーズン中にナブラが発生していれば、ハマチの可能性が高く、急遽タックルを準備してキャスティングしても間に合うことも多いです。
ナブラを見つけたら、是非とも高確率でゲットできる確変の獲物を狙ってみてはいかがでしょうか。
それでは、改めてハマチが良く釣れる釣り場やポイントの条件を改めて簡単に纏めておきましょう。
ハマチ釣れる釣り場
- 潮通しの良い沖向きの釣り場
- 一文字や沖に伸びる桟橋、人工島は好条件
- アジ、イワシ、サバなど小魚が豊富な釣り場
- 波止の先端やコーナーが一級ポイント
- 漁港入り口付近のミオ筋は回遊コース
- ナブラを見つけたらチャンス拡大
ハマチがよく釣れる時期(シーズン)
どのような魚でも、時期(シーズン)は地域によって多少ズレが生じます。
ハマチの場合も水温の違いによって接岸時期にズレが生じ、また沖に帰らず居着きとなるケースは、得てして暖流である黒潮の影響を強く受ける地域の特徴です。
一応管理人が住む関西地方を中心としたシーズンの紹介になりますので、その点はご認識下さい。
ここまでの紹介の中で、もうある程度ハマチが釣れる時期についての紹介も終えています。
ここでは防波堤釣りベースの具体的な紹介となります、ハマチ(ツバス、メジロ、ブリ含む)が釣れる時期は4月~12月です。
この中で、特によく釣れる時期は7月~11月で、ちょうど大型の青魚のベイトとなるアジ・サバ・イワシのサビキ釣りがベストシーズンを迎える時期と一致します。
居着きのメジロやブリを含めると、例えば関西だと和歌山の中紀から南紀にかけては、前述のように黒潮の影響を強く受け、1月・2月の真冬でも釣果が期待できます。
これらを基準に考えると、釣れる時期の感覚がズレてしまうので、ここではあくまで沖からの接岸をベースにした紹介とします。
春の4月、5月と初冬の12月はベイトのサイズも大きく、この時期はメジロ、ブリクラスの大物が釣れますが、決して数釣れるわけではありません。
沖の一文字や、水深のある護岸、地磯が主な釣り場となるので、身近な堤防釣りで釣果を目にする機会は多くないでしょう。
6月の梅雨前ごろから本格的に水温が上昇し、豆アジや豆サバの群れが押し寄せますが、これに合わせて30cmサイズのツバスが釣れ始めます。
夏はイワシなどのボイルも発生しやすく、ツバスはジグサビキなどでも比較的簡単に釣れるので、シーズン序盤の7月と8月はうまくいけば2桁釣果も期待できます。
ハマチサイズが増えるのは、8月後半から9月、10月のおよそ3か月間で、数・サイズともに期待できるのは、晩夏から秋にかけてとなります。
その後、11月に入ると少し釣り難しくなりますが、その代わりに釣れるとメジロというケースが増えてきます。
更に12月に入ると水温の低下に伴い、アタリは顕著に遠退いていきますが、ブリクラスが顔を出し始め、年明けを迎える頃には水深のない多くの釣り場では、ハマチは沖へ出て行ってしまいます。
以上の点をまとめると、納得のサイズで、数もそれなり期待できるハマチのベストシーズンは、9月~11月の秋シーズンと言えます。
この時期ハマチが釣れる釣り場では、上の写真のように、サゴシ(50cm程度までのサワラ)やシオ(50cm程度までのカンパチ)も合わせて釣れることも多いです。
特にサゴシは魚影も濃いので、初心者のジギンガーでもハマチとワンセットで狙えるターゲットとなります。
単純にベストシーズンは手返しの良いジギングを楽しみ、大物が狙える釣り難しい時期にはアジの呑ませ釣りで狙うなど、時期に合わせた釣りをするのが釣果を伸ばすコツと言えるでしょうか。
ハマチが狙える時間帯(タイミング)
ハマチは昼行性の魚ですが、夜間も捕食活動を行うので、一応夜釣りでも釣れることはあります。
ただし、前述のように夜間は波止に接岸する数も少なく、また夜はほとんど目が見えないと言われているので、周囲が明るい釣り場や、常夜灯の有無がポイントになります。
夜は釣り難しいので、ハマチは基本的には陽が出ている時間帯に狙う魚と認識しておいた方が良いでしょう。
どのような魚にとっても食事時となる朝と夕方のマズメ時は良く釣れる時間帯ですが、もちろんハマチの場合も例外ではありません。
朝夕のマズメ時の時間帯はエサとなる小魚が港内に出入りするタイミングとも合致するので、ハマチ狙いの釣行はいずれかの時間帯を含めたものにする必要があります。
もちろん、潮やベイトの状況で釣れる時間帯は変わりますが、少なくとも夜明け直後と日の入り前後は良く釣れる時間帯と言えます。
あと追加で、朝マズメと夕マズメの時間帯の比較では、日の出直後の朝マズメの方がハマチは釣れやすいという点も、合わせて覚えておくと良いでしょう。
なお、シーズン序盤のまだ魚が擦れていない時期なら、陽の高い昼間の釣りでも釣果は期待できますが、シーズン外に日中の釣りで釣果を出すのはかなり難しいです。
泳がせ釣りならまだしも、ルアーではほぼ釣果は期待できないと思っておきましょう。
もう一点、潮汐についてですが、堤防釣りのハマチは潮が大きく動く大潮が最も良いとされています。
もちろん潮が動く時間帯に潮が激流のように速くて釣りにならない釣り場もありますが、基本的には潮の動きが大きいタイミング(大潮、中潮)で、まさに潮が動く時間帯を狙いましょう。
タイドグラフ(潮汐表)を確認し、大潮の朝マズメの時間帯と潮が動くタイミング(干潮と満潮のおよそ前後2時間)が重なっていれば、ベストタイミングということになります。
以上で、ハマチの特徴と習性の紹介を含めた、釣れる場所、釣れる時期、釣れる時間帯の紹介を終わります。
よくシーズナルパターンという言葉が使われますが、ハマチの場合は時期が変わっても釣り場やポイントを変える必要性は少ないでしょう。
ただし、釣れるサイズに合わせた遠投と近投の投げ分けや、ベイトに合わせたルアーの選択、水温に合わせた棚の設定などは必要になります。
他の堤防釣りの釣魚に比べると、オカッパリのハマチは真昼間の釣果は期待が薄く、初心者さんにとってはそこそこ難しい釣りになるかもしれません。
ただ、サイズはハマチクラスでも非常に強い引きが楽しめ、1匹釣れば満足の釣果ともなり得る非常に魅力のあるターゲットです。
釣行の時期次第で、ショアジギングではボウズが連発することも珍しくありませんが、一発大物を狙ってハマチが良く釣れる釣り場へ足しげく通ってみるのも良いでしょう。
釣果は仕掛けや釣り方、使うエサやルアーにもよるので、一概にここで紹介した内容だけでハマチが釣れる釣れないとは言えませんが、ここで紹介した内容がハマチ釣りの基本的な知識の一端としてお役に立てれば幸いです。
その他の人気魚種についても詳しく紹介しています。