海釣りでは様々な種類の魚を釣ることができます。
とりわけ日本国内では、ほとんどの都道府県が海に面しており、手軽に海釣りを楽しめるだけでなく、季節や時期の違いはもちろん時間帯によっても釣れる魚種は変わり、それゆえ釣りのスタイルは驚くほど多様化しました。
少し足を伸ばせば何処にでも釣りができる防波堤(堤防)がある、釣り好きにとってこれだけ恵まれた生活環境は、他国にはないと言えるでしょう。
ここでは、海釣りの中でも、最も手軽な堤防釣り(波止釣り)で釣れる魚の種類や、各々の魚の釣りやすさ(難易度)について紹介します。
堤防釣りで釣れる魚の種類と釣りやすさ(難易度)
もし今から海釣りを始めようとすれば、どのような魚を狙ってみれば釣りやすいのか?
もちろん先に書いたように、日本には四季が存在し、例え釣りやすい魚であっても、時期によって釣れないことがあります。
各々の魚の釣りやすい時期(釣期)については、魚種別に詳しい内容で紹介していますが、ここでは釣りの難易度(もっと簡単にいうと手軽さ)だけを考えて、できるだけ釣りやすい魚の順に紹介します。
特に入門者さんや初心者には、はじめに釣りの面白さを知ってもらうという意味でも、出来るだけ難易度の低いターゲットから取り組むことをお勧めします。
堤防釣りの三大青物アジ、サバ、イワシ(難易度∶低)
まずは、初夏から晩秋にかけて、どこの釣り場へ出掛けても、比較的簡単に釣れるのがアジ、サバ、イワシの青魚三種類です。
都市部や地方を問わず、港湾内にある身近な漁港や護岸に回遊してくる魚で、堤防釣りのシーズン中には最も多くの釣り人により狙われる対象魚です。
また、アジ、サバ、イワシは、いずれも堤防釣りで釣れる魚の中では、もっとも数多く釣ることがことができる魚(大漁が期待できる魚)です。
波止釣りの人気者【アジ】まったく釣りを知らない初心者でも、サビキ釣りという簡単な釣り方で、アジ、サバ、イワシの3種類を同時に釣ることができます。
これらの魚は群れで行動する特性を有しており、時期と釣り場が良ければ3桁もの大漁の釣果を達成することさえ可能です。
ファミリーフィッシングを楽しまれる方の中には、海釣りのスタートが、アジ、サバ、イワシのサビキ釣りであったという方が、非常に多いことでしょう。
利便性が高く、足場の良い防波堤は、青物シーズンになると、特に人気のアジを狙いにくる釣り人で、大賑わいとなります。
朝夕のマズメ時だけでなく、夏場であれば日中の時間帯でも接岸する釣り場が多く、家族連れには何かとメリットの多い対象魚になります。
釣り経験の有無を問わずに釣果が得られるので、アジ・サバ・イワシはファミリーフィッシングの中心的存在の魚たちです。
とにかく、堤防釣りで魚を釣ってみたいという方は、サビキ釣りシーズンに釣って楽しい食べて美味しいアジを狙いに出掛けてはいかがでしょうか。
海釣りターゲット人気No.1のアジについては、釣れる時期や時間帯、釣れる場所など詳しく紹介していますので、宜しければご覧下さい。
アジ、サバ、イワシを汎用的なタックルで気軽に釣れるサビキ釣りや投げサビキについて、またサビキ釣りで釣れる魚、時期別攻略法、おすすめのタックルなどについても詳しく紹介しています。
岩場の釣りならロックフィッシュのカサゴ(ガシラ)とメバル、アイナメの御三家(難易度∶中)
波止際の捨て石周りや岩礁帯、テトラポッド帯で釣れる魚には、カサゴ(ガシラ)やメバル、アイナメといった、いわゆる根魚(ロックフィッシュ)と呼ばれる魚種がいます。
ロックフィッシュと呼ばれる魚は、他にもたくさんいますが、これらに共通して言えることは、生きエサを使えば非常に貪欲に食らい付いてくることです。
それゆえ、エサ釣りでも、擬似餌を使ったルアーフィッシングでも、いずれの釣り方でもある程度の釣果が期待できます。
上記の御三家の中では、特にカサゴ(ガシラ)が釣りやすく、その釣り方を覚えれば、まずボウズになることがありません。
厳寒期を含めて、カサゴは周年釣れるロックフィッシュであるというのも大きなメリットです。
カサゴに比べると、メバルとアイナメは少しばかり釣り難しい魚ですが、それゆえにゲーム性が高く、釣り物としてはファンの多いターゲットです。
ロックフィッシュの釣り方は、エサ釣りだといずれも【探り釣り】という釣り方がメインとなりますが、探り釣りにはいくつかの異なる釣り方があります。
ここでは、釣り方の紹介までは出来ませんが、探り釣りの概要については以下の記事で紹介しています。
また、探り釣りの中でも特にロックフィッシュが簡単に釣れる、『穴釣り』や『ブラクリ釣り』の仕掛けや釣り方についても、詳しく紹介しています。
なお、根魚(ロックフィッシュ)のもう一つの特徴として、いずれの魚も美味しいというメリットがあります。
釣って楽しい、食べて美味しい、ロックフィッシュはまさに理想的な釣りのターゲットと言えるでしょう。
カサゴとメバルについては、各々の習性や特性に加え、釣れる時期や時間などについても詳しく紹介していますので、ターゲットにお考えの方は是非ともご覧下さい。
家庭でもよく知られた魚のキスとカレイは底物の人気魚(難易度∶中)
キスの天ぷらや、カレイの煮つけなど、家庭料理でよく知られたこれらの魚は、比較的簡単に釣り上げることが可能です。
キスやカレイは、海釣りでは底物と呼ばれ、おもに海底が砂底となっている場所に存在し、海水浴場などの砂浜(サーフ)となっているすぐ沖でも釣ることが出来ます。
堤防釣りでももちろん釣れますが、カレイやキス自体は防波堤から少し離れた沖目にいることが多いので、重めのオモリとエサを付けた仕掛けを投げ込む【投げ釣り】といった専用の釣り方が主な釣り方になります。
ただし、比較的簡単に釣れるとは言っても、キス釣りは数釣りが可能ですが、カレイは1匹釣れば上々と考えてよいターゲットになります。
どちらも、時期によって釣果が大きく変わる魚種なので、釣行の時期は選ぶ必要があります。
人気のキス(シロギス)やカレイについては、各々の習性や特性に加え、釣れる時期や時間などについても詳しく紹介していますので、ターゲットにお考えの方は是非ともご覧下さい。
チヌ(クロダイ)とグレ(メジナ)は釣り人を虜にする魅惑の上物(難易度∶高)
力が強い上物の中で、釣りのターゲットとして人気を二分するのが、チヌ(クロダイ)とグレ(メジナ)です。
いずれの魚も堤防釣りで釣れますが、グレについては磯の魚という面が強く、防波堤で釣れるサイズは30cm程度までがほとんどです。
それに対し、チヌはどのような釣り場にも存在し、波止釣りでも50cmオーバー(年無しと呼ばれる)が釣れることも珍しくありません。
この2種類の上物は、主にフカセ釣りといったウキ釣りでエサを潮に流す釣り方がメインですが、魚の警戒心が高いことも含めて、釣り上げるには少しばかりテクニックが必要な魚種になります。
クロダイ(チヌ)は海釣りターゲットの中でも特に人気の高いターゲットで、釣れる時期や時間帯、釣れる場所など詳しく紹介していますので、宜しければご覧下さい。
秋の防波堤の風物詩タチウオ、周年狙える大物スズキ(ハネ)、近年大人気のアオリイカ(難易度∶高)
その他として、秋の防波堤を賑わせるタチウオ、ルアーマンにも大人気のシーバス(スズキやハネ)、春の大物・秋の数釣りが面白いアオリイカなどがいます。
これらのターゲットは主に陽が沈む頃から夜明け時までの、すなわちマズメ時を挟んだ夜釣り(ナイトフィッシング)がメインの対象魚です。
ある程度釣りに慣れていない方がいきなり夜釣りを行うのは、当然のごとく危険も伴い、決して手軽とは言えません。
また、タチウオ、スズキ、アオリイカのいずれについても、エサ釣りでは専用の仕掛けが必要となり、他の魚と合わせて狙える前述の4魚種たちとは一線を画します。
そういった面を考慮し、難易度としては高い釣りに分類されると言って良いでしょう。
ちなみに、この中では、タチウオは沖堤では夏前頃から釣れますが、湾奥の防波堤に入ってくるのは秋を迎える頃です。
スズキは周年釣れる魚ですが、時期によって釣れるサイズが変わり、60cm未満のサイズはハネと呼ばれます。
また、アオリイカは春の産卵シーズン後に一旦釣れなくなり、秋口から春に生まれた新子のサイズアップとともに釣れ始めるという特徴があります。
ルアーフィッシングでも釣れるこの3種類は、時期によっては最も人気のあるターゲットだとも言えます。
人気のタチウオやシーバス、アオリイカについても、釣れる時期や時間帯、釣れる釣り場の特徴を紹介しています。
その他の釣れる魚、本命ではない外道、エサ取りと呼ばれる魚など
他にも海釣り(波止釣り)ではまだまだ釣れる魚がいますので、その中の一部について名前と簡単な紹介だけしておきます。
ここでは、本命(ターゲット)になりえる魚、主に外道として釣れる魚、そしてエサ取りと呼ばれる魚に分けてみましょう。
メインターゲットとなる魚
以下で紹介する魚は、特定の時期(シーズン)に狙ったり、専用の釣り方で狙わないと釣るのが難しい魚で、玄人好みのターゲットと言えるかもしれません。
サヨリ(難易度:低)
サヨリは先に紹介した小型の青魚が波止際に寄せる夏以降に、同じようにサビキで釣れてきたりします。
サヨリの口は硬くて針掛かりが悪く、また表層に浮いている魚なので、基本的には専用のウキ釣り仕掛けのエサ釣りで狙います。
釣りそのものが面白いので、対象魚として人気はありますが、サイズアップしてくる晩秋以降になると徐々に釣り難しくなります。
カワハギ(難易度:高)
カワハギはエサ取りとしても挙げられる魚ですが、フグに似た白身の食感と味、そして大人気の肝部分は一級品です。
船釣りだけでなく堤防釣りでも釣り物としての人気は高いのですが、堤防釣りでは小型の釣果がほとんどです。
それゆえ、堤防釣りでは数釣りが可能な夏場ではなく、旬の走りとなる秋口から初冬にかけて専門に狙う人が多い魚です。
玄人好みのカワハギですが、こちらも釣れる時期や時間帯、釣れる釣り場の特徴を紹介しています。
タコ(難易度:中)
マダコは夏の防波堤を賑わす人気のターゲットで、釣れると良い土産になり、キロオーバーになると価値も高いです。
近年はオクトパッシングと言ってルアーのタコエギを用いた専用仕掛けで釣ることが多く、釣り物としてのタコは年々人気が高まっています。
また、エサ釣りの外道として食い付いてくるケースも意外と多いターゲットです。
ただし、タコは漁業権に引っ掛かってくるターゲットで、どこでも自由に釣って良いという訳ではないので、ここではその他扱いにしました。
近年夏場に釣れる対象として非常に人気が高いタコですが、こちらも釣れる時期や時間帯、釣れる釣り場の特徴を紹介しています。
ハマチ(ツバス)(難易度:中)
小型の青物が湾奥に入って来れば、青物の中でもフィッシュイーターと呼ばれる更なる大物が、堤防釣りでも釣れます。
ハマチは沖堤などの釣り場によっては、ブリクラスの大物が釣れることもあり、ルアーフィッシングの良いターゲットになっています。
近年はライトショアジギングを楽しむルアーマンも増え、一般的な防波堤でも、メジロクラスの大型の青物の釣果を目にする機会も増えました。
大型の青物の人気上昇に合わせ、ハマチ(メジロ・ブリ)についても釣れる時期や時間帯、釣れる釣り場の特徴の紹介記事を用意しました。
サゴシ(難易度:中)
サゴシはツバスと同じ時期に、ルアーフィッシングで釣れ始め、時期や場所によってはサワラクラスの大物が釣れることもあります。
どちらかといえば、ハマチや太刀魚狙いの外道として掛かることが多く、メインターゲットとして狙うアングラーは少ない方だと言えます。
ヒラメ(難易度:高)
ヒラメは小魚などの活きエサでないと釣るのが難しく、専門に狙う必要がありますが、まれに投げ釣りや紀州釣りなどの底を釣る釣りで外道として釣れることもあります。
ルアーマンにとっては、サーフでのジギングターゲットとして、一部の釣り人に人気のある高級魚です。
アコウ(難易度:高)
先に紹介したロックフィッシュ(根魚)の一種ですが、アコウ(キジハタ)は釣り場や釣り方の選択肢が狭く、一時期の太平洋側では幻の魚とも評されるほど釣り上げるのが難しい高級魚です。
ただ近年は、アコウの稚魚を放流している都道府県もあり、一時期に比べると釣りやすいターゲットになりました。
夏のロックフィッシュゲームとしてアコウを狙うアングラーが増えており、アコウについても釣れる時期や時間帯、釣れる釣り場の特徴の紹介記事を用意しました。
ハゼ(難易度∶低)
ハゼは堤防釣りでは、投げ釣りの外道として掛かりますが、それほど数釣れる魚ではありません。
ただし、河口域で晩夏から専門に狙うと、大漁も難しくないターゲットで、時期によっては大人気になるターゲットです。
外道として扱われる魚
本来であれば、本命以外はすべて外道となるのですが、以下の魚たちは堤防釣りではほとんど本命として狙う人はいない魚達で、釣れて嬉しいターゲットもいれば、釣れて欲しくないターゲットもいます。
サンバソウ(難易度:高)
サンバソウはイシダイの幼魚で、波止釣りで釣れるサイズは25cm程度までと小さいですが、小さくても非常に力が強く、食べても美味しいので、そこそこサイズがあれば最高に嬉しい外道と言えます。
アイゴ(難易度:中)
アイゴは非常にパワフルで掛かると面白いですが、毒のヒレがあるので注意が必要です。
また内蔵は非常に磯臭く調理にも注意が必要ですが、上手く調理すれば実は美味い魚です。
ここでは、外道に分類しましたが、これを専門に狙う酒粕などを使った釣り方もあります。
マゴチ(難易度∶高)
マゴチは砂泥底に生息し、ヒラメを狙っての外道として釣れることが多く、見た目は悪いですが美味しい魚です。
河口などの汽水域にもよく侵入し、これをターゲットに狙うルアーマンも多くいます。
メゴチ(難易度∶低)
メゴチは砂地でのキスの投げ釣りの外道として釣れますが、専門に狙う人はほとんどいません。
ボラ(難易度∶中)
ボラはサビキやダンゴを使った釣りで時折ヒットする大物ですが、取り込みは困難で釣れても臭いので喜ばれません。
ただし、冬のボラが地域によっては寒ボラと言われ、臭みも抜けて食しても美味い魚です。
エサ取りとして扱われる魚
堤防釣りをしていれば、どのような釣りをしていても釣れてくるエサ取りに部類される魚達で、一部を除いてほぼ喜ばれるターゲットではありませんが、時に魚の活性を測るバロメータになったりもします。
チャリコ(難易度∶低)
チャリコはマダイやチダイなどの幼魚の総称で、どのような釣りをしていても掛かってきます。
まれに20cm~30cmくらいあるチャリコが釣れると、もはやエサ取りとは言えない嬉しい獲物となります。
ベラ(難易度∶低)
ベラはどのような釣りをしていても掛かってきて、普通に持ち帰る釣り人もいますが、特にイソベラは身が柔らかいこともあってあまり好まれず、エサ取りとして扱われます。
旬の夏場に釣れるキュウセンは、一部の釣り人には好まれるターゲットです。
ウリボウ(難易度∶低)
シマイサギの幼魚で、夏場にこれが湧くと他の魚が釣りにくくなるので、非常に厄介なエサ取りの一種です。
スズメダイ(難易度∶低)
オセンとも呼ばれ、あまり大きくなることもなく、小さくとも骨が硬いので食用に向かず、エサ取りとして扱われます。
フグ(難易度∶低)
どのような釣りでも釣れ、小物のクサフグでも非常に固い歯を持つので、ハリスを食いちぎられるケースが多いです。
毒のある魚ということもあり、エサ取りとして扱われます。
ハオコゼ(難易度∶低)
岩礁帯で釣れる10cmまでの小魚ですが、背ビレに毒を持っているので、釣れたら手で持ってはいけません。
先に紹介したカサゴと似た外観をしているので、初心者さんは間違えないように注意が必要です。
ゴンズイ(難易度∶中)
ゴンズイは夜釣りで釣れるエサ取りの一種ですが、背ビレや胸ビレに強烈な毒の棘を持つので、釣れたら細心の注意が必要です。
食用にすれば、美味いと言われますが、持ち帰る際には先に棘を切り落としておいた方が良いでしょう。
ココに注意
外道の中には毒魚が多いので、初心者さんは注意しましょう。
海釣りの入門者さんや初心者さんには、事前に毒のある魚についてある程度知識を持っておくことをお勧めします。
以上、波止釣りで釣れる魚の種類と、ターゲットの釣りやすさ(難易度)について紹介しました。
冒頭にも書きましたが、それぞれの魚にはよく釣れるシーズン(釣期)というものがありますので、単純に難易度だけで判断しないようにしましょう。
その時々の釣行時期に、今釣れる魚は何かということを十分下調べしたうえで釣りに出掛けるようにしましょう。
釣果情報サイトを上手く使いながら、釣れている魚、釣れている場所に狙いを定めて釣行に出ることが、釣果を伸ばす一番のコツだと言えるでしょう。
今釣れる魚を手っ取り早く調べるための紹介記事を用意しました。
また、釣れる時期と魚の旬を合わせて確認するには、外部サイトになりますが『波止釣りで釣れる魚の時期と旬の一覧表』を確認するのもおすすめです。
それぞれの魚の特徴や習性、釣り方などについても数多く紹介していますので、ご興味のあるターゲットについて合わせてご確認下さい。
【人気ターゲットの習性】